例年より早い、春の訪れ。南アルプスと中央アルプスに囲まれた伊那谷も、4月を待たずに桜が咲き、すっかり初夏のような陽気に包まれている。いよいよグリーンシーズンも目前だ。そんななか、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、昨年の夏、林道バスも山小屋も営業を休止していた南アルプス北部の登山口・北沢峠の状況が気になっている人も多いだろう。北沢峠の今シーズンの明るいニュースを入手したので、伊那市在住ライターとして、張り切ってお届けしたい。

■南アルプス林道バスの営業開始は、4月25日(日)から

南アルプス林道バスの始点となる、仙流荘前のバス停

 まずは朗報だ。今シーズン、標高2032mの北沢峠へ私たちを運んでくれる南アルプス林道バスは、例年通り4月25日(日)から、歌宿までの運行がスタートする。大型台風に見舞われシーズンが強制終了となってしまった2019年10月以来、約1年半ぶりの再開だ。歌宿から北沢峠までは、片道約2時間。この時期は残雪の仙丈ヶ岳や甲斐駒ヶ岳を楽しめるが、日帰りだと無理があるので、同じく4月25日(日)に営業開始となる北沢峠こもれび山荘での1泊を推奨したい。

 北沢峠への直通の便が走り始めるのは、例年であれば6月15日頃だが、少し遅れる見込みとのこと。コロナ禍で営業休止の間、じつはは2020年夏の大雨により歌宿〜北沢峠の林道が被災していたのだ。7月中旬の全線開通を目指し、復旧工事を急ピッチで進めているそうなので、運行開始については伊那市のウェブサイトなどで最新情報をチェックしよう。

伊那市ウェブサイト内 山岳情報
https://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/index.html

■伊那市営の山小屋はコロナ対策を万全に営業予定!

バス停の目の前にある北沢峠こもれび山荘。昼食利用も可能だ

 先シーズン、南アルプスに建つ伊那市営の山小屋「北沢峠こもれび山荘」「仙丈小屋」「塩見小屋」はすべて営業休止となっていたが、今シーズンは営業することが決定した。いずれの山小屋も定員制限と完全予約制、新型コロナウイルス感染予防対策を徹底して、登山者を迎え入れるとのこと。私たち登山者側も、山小屋でクラスターを発生させないよう感染対策に細心の注意を払って利用しよう。

南アルプス北部にある伊那市営の山小屋の営業期間
北沢峠こもれび山荘 4月25日(日)〜10月31日(日)
仙丈小屋 6月15日(火)〜10月31日(日)
塩見小屋 7月1日(木)〜10月15日(金)
※中央アルプスに建つ西駒山荘(伊那市営)も営業予定。営業期間は7月10日(土)〜10月11日(月)。
※新型コロナウイルスの状況によって、営業期間が変更となる可能性もあり。
仙丈ヶ岳の山頂直下に建つ仙丈小屋。甲斐駒ヶ岳の眺望が楽しめる。写真:清水俊一郎

 北沢峠周辺にはほかにも、長衛小屋、仙水小屋、大平山荘、馬の背ヒュッテなどがある。今後わかり次第、各施設の今季の営業状況に関しても改めてレポート予定だ。

■通行止めとなっている林道やルートもあるので要注意!

北沢峠〜仙水峠間の沢沿いの道。昨年の大雨で登山道が流失してしまった

 この夏、北沢峠を起点に南アルプス北部を歩けることがわかったことは大変喜ばしいことだが、注意すべき情報も入ってきたので、ここでお伝えしておきたい。まず、北沢峠と山梨県側の広河原を繋ぐ林道が、2019年10月の台風の際に甚大な被害を受けていて、今シーズンも通行止めが続く見込みなのだ。北沢峠へのアクセスは、伊那市側から林道バスに乗るか、または甲斐駒ヶ岳や北岳などを縦走するしかない。

 もうひとつ、2020年夏の大雨によって、北沢峠から仙水峠までの沢沿いの登山道が流失しているため通行できないことも、留意すべき点だ。個人的にとても好きな道で、栗沢山に登るときも、往路か復路に必ず通っていたのでとても残念だが、復旧する日を心待ちにしたい。

 以上が、現時点での南アルプス北部、北沢峠周辺の最新情報となる。近隣自治体の状況が明らかになってきたら、改めて記事を投稿したいと思っているので、どうぞお楽しみに!