■穴場的存在、大網登山口から目指す雨飾山

歩き出してすぐに渡渉が待っています

 山深い場所に突如現れる登山口の前には10台ほど停められるスペースがあります。歩き出してすぐに小さな沢を渡渉。ぬかるんだ箇所をいくつか通りすぎれば斜面を下り「前沢」を渡ります。石の上は滑りやすく不用意に足を置くと転倒の恐れがありますので、浅い箇所をうまく見極めて着実に。しばらくいくと右岸側の斜面にアルミのハシゴが設置されています。ハシゴの投降はもちろんですが、上り終わった後も急な斜面ですので気を緩めないように。

前沢に交差して登山道があります。水量が多いと靴を濡らさずに渡るのが難しいときも
名物? のハシゴ。上り切った先も急斜面ですので気を抜かないように

 標高1,000mあたりからは雨飾山の稜線へ向けて急坂が続きます。ときおり傾斜が緩む箇所がありますので、うまく休憩をとりながら頑張りましょう。背の高いブナやトチの巨木が印象的な森が癒しとなるでしょう。

ブナやトチの巨木が印象的な美しい森を登っていきます
紅葉の回廊をいく爽快な尾根歩き。秋の繊細な景色を楽しめます
開放感のあるガレ場。景色に見とれつつも慎重に

 1,650mあたりで主稜線に出たら、ひたすら尾根を辿っていきます。天気が良ければ紅葉のトンネルを行く爽快な尾根歩きで、前方に雨飾山(ニセピーク)、振り返れば北アルプス北部の峰々や頸城山塊が見事。ただし雨天や強風時は逃げ場が少ないです。

 取材時はこのあたりが色づき始めたばかりでした。ダケカンバが目立ちだすとニセピークはすぐ。短いですが、ガレ場歩きにアルプスの稜線を彷彿とさせられます。尾根の脇から女神の横顔が垣間見えますが、尾根は狭く、とくに山頂直下の南側は断崖となっていていますので、慎重に歩みを進めます。するとまさに躍り出るように雨飾山北峰が目の前に現れます。並んだ石仏が迎えてくれているかのよう。すぐ先には山頂標識がある南峰があります。

石仏が並ぶ北峰へ出ます。すぐ先に山頂標識がある南峰

 スパイスのような難所の数々を越えてたどり着いた山頂。荒々しくかつ繊細な尾根の景色が、秋の彩りと相まって一層魅力的な登山ルートです。

※現在、大網登山口から湯峠の区間は、道路工事の関係でしばらく車両が通れなくなっています。タクシーを利用するか、下山口に1台車をデポしてから登山口に向かう必要があります。

■下山は定番ルート! 荒菅沢を経て、雨飾高原へ

 山頂からは360度の展望が楽しめます。雲海と上空の雲の狭間から周囲の山並みをぐるりと見渡し、山座同定をしつつ長めの休憩としました。

 少し風が強くなってきました。雨飾高原へ向けて下山を開始します。こちらもまた変化に富んだルートです。

 女神の横顔を眺めつつも急斜面を慎重に下っていきます。爽快な笹平を歩いていると「今鼻のあたりかな?」などと思い浮かべつつ、雨飾温泉や金山方面への分岐を過ぎます。ここからは高度感のあるスリリングな尾根歩きとなります。ハシゴや露出したガレ場があり、スリップしやすい斜面を下りていきます。

 荒菅沢からは森と断崖のダイナミックな景色が楽しめす。色づきのピークには豪華絢爛な紅葉絵巻が楽しめる場所です。

黄色く染まったブナ平の木々(過去写真)

 登り返すと大きな登りはもうありません。平らの途中にルート上唯一の携帯トイレブースがあります。標高約1,400mの休憩適地。優しい雰囲気が漂う「ブナ平」。筆者はこのブナの森を見上げるためだけに訪れることもある場所ですが、紅葉はまだまだ先になりそうでした。

 この先も下りは長く続くので正念場です。最後は急斜面の階段。ようやく平らへ着いたら、生い茂る河畔林を眺めつつ、傍に流れるせせらぎにも目をやってみましょう。ときおり何かを捕食しているイワナたちの姿を見つけられるはずです。

水面に流れてきた虫を食べに飛び出したイワナ(過去写真)

 山頂付近の紅葉は見頃のタイミングでしたが、長雨の影響でしょうか、傷んでいる葉が目立ちました。より標高の低い場所はこれから秋色になっていくでしょう。冷え込みが進めば一気に色づきそうです。美しい紅葉に期待が膨らみます。

※雨飾山登山は、どの登山口からも歩きごたえのあるルートとなり、所要時間も長いのですが、なぜか比較的手軽に考えている登山者が多い印象です。とくにこれからの時期は日も短く気温も低下します。ぜひ万全の計画で臨んでください。