キャンプ先を考えるとき、「快適に過ごせるか」だけでなく、「その場所ならではの景色を味わえるか」も気になる。せっかく自然の中で一晩を過ごすなら、夜や朝の時間まで印象に残る場所を選びたい。
筆者が実際に泊まった長野県小谷村にある「雨飾(あまかざり)高原キャンプ場」は、夜には満天の星空が頭上を覆い、朝には美しい山景色が目前に広がる場所だった。敷地内で他のアクティビティが楽しめるような派手さはないが、朝晩で表情を変える景色を眺めながら過ごすひとときが、このキャンプ場ならではの魅力だと感じた。
今回は、そんな雨飾高原キャンプ場の印象に残った魅力と、泊まって感じた注意点を紹介したい。キャンプ先を探している人にとって、候補のひとつになるかどうかを判断しやすいよう、実体験ベースでまとめていく。
■ロケーションが魅力のキャンプ場
このキャンプ場を選んだ理由は、日本百名山の一つである雨飾山(標高1,963m)を望むロケーションと公式サイトに謳われており、標高約1,200mの高原にあるという立地に惹かれたからだった。「満天の星」が紹介されており、ブナの原生林に囲まれた環境のなか、豊かな大自然を五感で目一杯楽しめそうな点にも魅力を感じた。
アクセスは、北陸自動車道・糸魚川ICから車で50分ほど。現地に着くと、周囲には深い緑に覆われた山々が広がり、受付からサイトへ向かう途中、高原の涼しく爽やかな風が迎えてくれた。こんな大自然の高原で見る星空とは、どれだけ美しいのだろうと、テントを設営する前から早くも期待が高まった。
■いちばん印象に残ったのは、夜の星空だった
見上げた空を埋め尽くすような星々は、本当に印象的だった。周辺には人工の灯りがほとんどなく、日が沈んで目が暗さに慣れてくると、山の上から頭上まで無数の星が姿を現した。夜更けを待つまでもなく、こんなに早い時間帯から星を楽しめるとは思ってもみなかった。しかも、空の一部分でなく、視界いっぱいに星が広がる、まさに満天の星。
訪れた日は、雲も少なく、天の川を肉眼ではっきりと確認できた。いちばんの感動は、ちょうど流星群の時期だったこともあり、流れ星が見られたことだ。それは一瞬だったけれど、感動的なほど美しく、家族で一緒に見られたことは忘れられない思い出になった。
我が家が利用したのはキャンプ場の最上部に位置するオートサイトの一つ「うさぎサイト」だ。周りのキャンパーたちも空を見上げては「きれいだね」「すごい」と静かに感動の声を上げていた。同じ景色に同じ感動を抱いている人たちがいることも、特別感のある夜を、より印象深いものにしてくれた。何よりも空を見上げては星を探す、その時間そのものが贅沢で、この星空を見るためだけでも訪れる価値があると感じたほどだった。
暑さがやわらぎ空が澄んでくるこれからの時季は、よりきれいな星空が待っていることだろう。
■青々とした山景色を眺めながら過ごす朝時間
星空の感動と共に寝床につき、翌朝、目にした景色も格別だった。テントの外へ出ると、朝露をまとう草木が朝日に照らされて輝く光景に目を奪われ、その先には雄大な雨飾山の稜線が遠くまで広がっていた。雨飾高原キャンプ場が位置する妙高戸隠連山(みょうこうとがくしれんざん)国立公園は、多種多様な動植物が生息し、全国有数の野鳥の宝庫だという。木々のあちこちから、鳥がさえずるさまざまな声が聞こえ、思わず耳を傾ける。自然のなかで目が覚めていく心地よさに、朝から完全に心が満たされた。
高原らしいひんやりと澄んだ空気のなか、我が家は、日の光を浴びる雨飾山を望みながら朝食とコーヒーをゆっくり楽しんだ。自宅と同じようについ朝食や片付けで慌ただしくなりがちな時間帯でも、思わずふと手を止めて全身で感じることを誘われるような自然にあふれている場所。外で過ごす時間そのものがご馳走なんだと感じずにはいられなかった。