これからの季節、週末に港や堤防での釣り人も増えていくことが予想される。しかし、毎年のように悲しい落水事故が発生しているのも事実だ。

 一見穏やかで安全に見える防波堤であっても、足場の悪いところもあれば急な高波も考えられる。「自分だけは大丈夫」と過信して、身の安全を守る準備を怠ることこそ最も危険な行為である。

 海釣り初心者はぜひ参考にしてほしい、落水時の生存率を大きく上げるライフジャケット(救命胴衣)の正しい選び方と種類について紹介する。

■国土交通省の安全基準「桜マーク」つきの「タイプA」を選ぼう

ライフジャケットについている国が認めた安全の証「桜マーク」

 ライフジャケットを選ぶ際は、国土交通省の安全基準を満たした型式承認品であることを示す「桜マーク」つきを選ぶことが最優先だ。

 さらに桜マークがついたものでも、航行区域によってタイプが分かれており、全航行区域対応の「タイプA」であれば、船釣りから防波堤まですべての釣り場で制限なく使用できる。

 安価な未承認品は、いざというときに十分に浮かない恐れがあるため、大切な命を預ける装備として、必ず桜マークつきの適合品を選ぼう。

■釣り場と用途で決まる。ライフジャケットの「2大方式」と特徴

 ライフジャケットを選ぶ際は、釣り場の足場やスタイルに合わせることが重要だ。大きく分けると、ガスで膨らむ「自動膨張式」と、最初から浮力材が入っている「固型式」の2つがある。

●「自動膨張式(腰巻き・肩掛け)」は、岩場のない堤防や船釣りに

腰巻きタイプの自動膨張式のライフジャケット

 自動膨張式は、着用時の身軽さや軽快さが特徴のタイプだ。普段はコンパクトに折りたたまれており、落水時に内蔵されたセンサーが水分を検知すると、瞬時にトリガーが引かれ、内臓のガスボンベから一瞬にしてガスが送り込まれ浮き輪状に膨らむ仕組みとなっている。

 自動膨張式には「腰巻きタイプ」と「肩掛けタイプ」の2種類がある。
腰巻きタイプ:上半身が完全にフリーで動きやすく、夏場でも蒸れずに涼しい。
肩掛けタイプ:膨張時に首から胸元をしっかり支えるため、落水時に顔が水面から上を向きやすい。

 どちらも身軽な反面、ガスボンベやセンサーの定期点検が必要だ。さらに岩場などで擦れるとパンクする恐れがあるため、周辺にテトラポットや岩場のない堤防や、船釣りに適している。

●「固型式(フローティングベスト)」は、岩場やテトラ帯のある釣り場に

フローティングベスト

 岩場やテトラ帯など足場が不安定な場所で釣りをするなら、浮力材が入った固型式ベストが必須だ。 落水した瞬間から確実に浮き、岩やコンクリートに擦れてもパンクしない。

 ポケットが多く便利な反面、浮力材で少しかさばり、夏場の着用は蒸れや暑さを感じやすい。しかし磯場や消波ブロックなどの滑りやすい場所では、安全面からこの固型式の一択となる。

●釣り場で使い分ける

 筆者は、釣り場に応じて使い分けている。ロックフィッシュを狙って険しい岩場に行くことも多い。岩場では固型式のベストを着用し、周囲に障害物がない平らな防波堤では自動膨張の腰巻きタイプを使用している。釣り場の状況に合わせた使い分けを徹底しよう。