■事前学習が登山者の意識を高めてくれることに期待

2024年の静岡県側3登山道からの登山者数の合計は、環境省が計測している八合目カウンターの数字で約9万人だったそうだ。先行して登山規制を開始した山梨県側では、実施後の登山者数は前年度比で約16%減少、夜間の登山者は大幅に減少した。静岡県側でも同様に、実施後の登山者数は一定数減少するのではないかと見込んでいる。
ちなみに、1日の登山者数を4,000人に制限している山梨県に対し、静岡県は上限や入山口のゲートは設けない予定。徴収した入山料は登山規制に必要な運営経費に加え、救護所の運営やバイオトイレの整備など、登山者の安全対策や富士山の環境を保全するための施策に活用される。入山料の使途については、登山期間終了後に静岡県の公式ホームページなどで公開する予定となっている。

今回の条例化にあたり、静岡県が登山前のルール&マナーの事前学習を義務付けたことには大いに注目したい。登山者たちが富士山の世界文化遺産としての価値を理解し、富士登山のルールを把握したうえで、安全登山やオーバーユースに対する意識が高まって効果が現れることを期待しよう。