■さらなる水温上昇で魚の活性アップ

時刻は正午を過ぎ、水温はさらに1℃上昇し、8℃となっていた。水中に見える魚の数は増え、動きも活発になっている。水温の上昇により、魚たちの活性がさらに上がったようだ。
釣りエサへの反応も格段に良くなり、ハリからエサを取られる頻度が増えた。エサ付けに手間がかかるものの、活性の向上を実感できるのは嬉しい。
それにしても、釣れる魚のほとんどはクチボソ(コイ科の小型淡水魚で、標準和名はモツゴ)ばかり。「以前通っていた頃に比べて、タナゴの数が減ってしまったなぁ」と少し寂しさを覚えた。早春の柔らかな日差しを浴びて輝くタナゴの姿が、いつも以上に愛おしく感じられた。
その後、午後1時を過ぎると、天気予報通りに北から強い風が吹き始めた。この風の影響で仕掛けが流され、釣りの続行が難しくなってしまった。少し前からタナゴが立て続けに釣れるようになっていたので、おそらくこれからの1~2時間が最もいい時間帯となるだろう。このまま釣りを続けたい気持ちでいっぱいだったが、名残惜しくも竿を納めることにした。

肝心の釣果は、実釣4時間でクチボソ60匹以上、タナゴ16匹。本命のタナゴがもう少し釣れれば理想的だったが、久しぶりに訪れた釣り場でタナゴの顔が見られただけで、今回はそれでよしとしよう。


■タナゴだらけ! 予想と現実のギャップに愕然

今回は、春の気配を感じたいと茨城県の牛久水郷にタナゴ釣りに出かけた。この周辺は昔からタナゴ釣りが盛んな地域で、のどかな田園風景のなかで釣りを楽しめる魅力的なスポットだ。タナゴ釣りの経験がある人なら、この記事を読んで懐かしさを覚えた人も多いのではないだろうか。
釣行中、「以前通っていた頃に比べて、タナゴの数が減ってしまったなぁ」と残念に感じたことを記したが、これについて驚くべき事実が判明した。釣りを終えたあと、水中にカメラを沈めて動画撮影してみると、一番多く釣れたクチボソに負けないくらい多くのタナゴが映っていたのだ。これには本当に驚かされた。


タナゴがあまり釣れなかった原因を「魚が減ったせいかも」と考えていたわけだが、実は単に筆者の腕が未熟だっただけのようだ。なんとも恥ずかしい話である。
タナゴに限らず釣り人はよく「魚が釣れなかったのは、魚が留守だったから」と言いがちだが、実際はそうでないことが意外と多いのかもしれない。
牛久水郷の水路には、春を待ちわびるたくさんのタナゴたちがひっそりと潜んでいた。水温がさらに上昇し、活性が一層高まる頃に、もう一度釣りに訪れたいと思う。
※ 管轄漁協:牛久沼漁業協同組合
【注意事項】
釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。もちろん釣り場でのゴミのポイ捨てなども厳禁である。