■コスパ最強の360度のパノラマ

エビのシッポ化した山頂は−8度

 剣山頂上ヒュッテの手前でサーッと雲が抜けはじめ、雲海となった。この日の天気予報では7時過ぎから晴れると見越していたことが当たったようだ(天気がもっと早い時間から良ければ日の出に合わせて登りたかった)。ヒュッテでさらに防寒対策としてダウンを着込み厳冬期用のグローブに変え、準備万全に山頂へ向かう。

 山頂は遮るものがない広い笹原で、その上にある木道を歩くのだが、天空の散歩をしているかのようだった。風の影響はダイレクトに受けるので防寒対策は念入りにした方が良いだろう。土佐湾から石鎚山まで見渡せる360度のパノラマ絶景と「次郎笈(ぎゅう)」へ続く稜線がとても美しい。稜線にかかる雲も徐々に引き始め、「この景色が見たかった」と感激した。

 登り2時間という短い時間で、樹氷の世界を堪能したり、鹿に会えたり、信仰の山で神社を巡ったり、登りながらの楽しさもあり、山頂の景色も素晴らしく、とてもコスパのいい山だと思った。私の狙い通り、山頂は貸切で静かな山歩きともなり大満足だった。

■下山飯は徳島ラーメン

とっても絶品だった徳島ラーメン

 下山のルートは、せっかくだからと登りで通っていない「刀掛ノ松ルート」にした。スッキリ晴れ、登りでは見れなかった周りの山々が見えたことは楽しい。日が高くなり、9時の時点でもう樹々の雪は溶け、笹も緑色になっていたが、それでも冷え切った体が温かいものを欲する。長野からやってきた遠征山旅なので、「徳島で有名な物を食べたい」と下山中はご飯のことで頭がいっぱいだった。

 地元の人に愛される“徳島ラーメン”「中華そば いのたに本店」へ行くことにした。13時を過ぎた頃だったが、たくさんのお客さんで賑わっていた。それでもそこまで待つことはなくすぐ座れた。醤油豚骨スープと豚バラや生卵がバランスよくて絶品! 体に染み渡った。下山飯は山旅の醍醐味だ。この後も、瀬戸内海国立公園の渦潮を見にいき、時間の許す限り徳島県を満喫した。山と旅を合わせる行程を作ることにハマりそうだ。

帰路、渦潮を見に鳴門大橋へ