■裏返してみると、違いがよくわかる

ソックスを裏返してパイルの配置を見ると用途がよくわかる。一番上は街履き用なのでパイルがない

 長さと併せてチェックしたいのが、ソックスの裏側にある「パイル」と呼ばれるタオル地のようなモコモコした部分。これはクッションの役割を果たし、靴擦れを防ぐ重要なパーツで、用途に合わせて靴と足が干渉しそうな位置に配されている。ちなみに、保温性や吸水性を高める役割も兼ねている。

どこにパイルが配置されているかを見比べてみよう

 激しい運動を想定していない街履き用ソックスを見てみると、パイルがまったくないか、保温性を重視して全体に入っているのかのどちらかであることがわかるだろう。

 対して、アウトドア用は適材適所。例えば、ハイキング用はつま先とカカトに厚みを持たせて保護しつつ、他の部分は通気性を考慮して薄めに仕上げられている。また、スキーや重たい登山靴を履くためのソックスは、長いだけでなくスネや足の甲にもしっかりとパイルが配置されたモデルが多い。

 つまり、パイルの配置を見れば、そのソックスの大まかな用途を知ることができるのだ。

パイルにも目の細かさと厚みに違いがある

 パイルの厚みによって、ソックスのクッション性(足の保護性能)は決まる。また、パイルが厚くなる=ソックス全体の厚みが増して、保温性も高まる。寒さと対峙する冬のアウトドアでは、保温性はソックス選びにおける重要な要素。また、重たい荷物を背負うときには、クッション性も不可欠だ。

 しかし、一概に厚みがあって保温性やクッション性が高ければいいものでもないのが難しいところ。保温性が高すぎて汗をかいてしまうと、汗冷えや靴ズレの原因にもなりかねない。汎用性の高さを重視して通年使える中厚手タイプを選ぶか、夏用、冬用を使い分けるかは悩ましいところだ。

■厚手だけが正解じゃない。薄手のソックスだって選択肢

同じブランドの同じ素材を使ったソックスでも、パイルの有無でここまで厚みが異なる

 また足裏の感覚を重要視する登山者の中には、パイルがなくダイレクトな足裏感覚を得られる薄手のソックスを好むユーザーも少なくない。足の指が独立した5本指タイプも、同様に足裏で地面を掴むような感覚を体感できる特長を生かすために、パイルが薄めのモデルが多い。

しっかり踏ん張れる感覚のある5本指タイプ。トレイルランナーにも人気

 ご覧いただいたように、用途に合わせて素材、長さ、厚み、パイルの配置、形状まで総合的に考えて選ぶのが、理想のソックスに辿り着くための近道となる。

 お店では店員さんに相談しつつ、裏側までじーっくりと確認して選んでいただきたい。