小富士は、富士山須走口五合目から片道30分ほどで到着できる、お手軽に富士山の眺望を楽しめる小ピークだ。富士山の裾野から少し突き出た禿山から、森林限界を境に赤茶色の荒々しい富士山山頂部分、緑生い茂る裾野部分の対比を眺めることができる。

 今回は、富士山須走口五合目から小富士までの道中と、小富士からの眺望を紹介する。アップダウンの少ない樹林帯の道はファミリーでも安心。また山頂方面からの帰路に立ち寄るとしても、それほど苦にならないので、路線バスやシャトルバスの出発時間と相談して訪れてほしい。 

■小富士(こふじ・標高1,979m) ​​静岡県駿東郡小山町

 小富士は、砂礫の降り積もった賽の河原のような雰囲気の丘だ。この一帯だけ樹林帯から外れており、周囲への展望がよい。御殿場や吉田の市街地、河口湖や山中湖といった湖畔の様子、箱根や秩父、愛鷹山方面への眺めを楽しめるため、多くの登山者やファミリーが訪れている。

 須走五合目から小富士までの登山道は、富士山自然休養林ハイキングコースのJコース「須走口五合目〜小富士コース」として、富士山自然休養林保護管理協会が管理しており、歩きやすく整備されている。アスファルト道ではないため、スニーカーなどの歩きやすい靴で訪れてほしい。

■須走口五合目

須走口五合目入口は石畳の道。「いってらっしゃい」と声をかけてくれる山小屋スタッフの気配りがとてもうれしい 

 バスの停留所を降りて、富士山須走口観光案内所とインフォメーションセンターを通過すると、大きな看板が特徴的な須走口五合目に到着する。ここからしばらくは石畳の道が続き、山小屋の前を通過する。

 山小屋の外のベンチを借りて準備を整えていると、椎茸茶を振る舞ってくれることもある。手厚いサービスに感謝しつつ、これからの山行に向けての励みにしよう。

 道中には須走ルートの案内図や、バスの時刻表なども張り出されており、帰り時間の目安を測るために確認しておこう。トイレは2か所あるが、どちらも有料で1回200円。両替機などは存在していないので、百円玉を多めに持参すること。

 ときどき通過する山小屋の軽ワゴンに注意しつつ、石畳を奥まで進むと富士山保全協力金の支払い所がある。

 2024年の協力金は、前年と同じく1,000円。小富士方面へ向かう場合も支払った方がよいか、現地スタッフに確認したところ、「山頂方面やその他の方面の区別なく、任意だが払っていただけたらうれしい」とのことだった。

 ちなみに支払いを済ませれば、木のストラップやステッカーがもらえる。支払い所を通過すると、山頂へと続く石階段の右側に小富士遊歩道と掘られた石の案内が立っている。少し入り口が狭いので、見落として山頂方面へと向かってしまわないよう注意しよう。