夏休みはトップシーズンを迎えるキャンプ場施設。料金も通常の1.5〜2倍近くに高騰する時期だ。こうした宿泊料をかけずに、観光や食事などにお金をまわせる車中泊旅行が今、人気である。 

 ただし、夏の車中泊はエアコンがないと、蒸し風呂状態。なんとか夏でも快適に過ごしたいものだ。今回は、筆者がおすすめする夏の車中泊を快適に過ごす方法を紹介するので、ぜひ参考にしてもらいたい。

■夏の車中泊で心がけること

標高と木陰を選ぼう

 車中泊は、車内の狭小空間で過ごす時間がほとんどとなるため、夏は暑さ対策が必要だ。エンジンとエアコンをかけたままの就寝は、騒音や排気ガス問題から当然マナー違反となる。さらに、排気ガスが車内に入って、一酸化炭素中毒になる危険性もある。まずは夏場の車中泊で、心がけておきたい3つのポイントを取り上げてみた。

●心がけたい熱中症対策

 狭い車内空間は温度変化が激しいため、普段より熱中症になりやすいので気をつけたい。車中泊の際、カーテンを閉めてしまうと、外部から中の様子をうかがい知ることはできない。周囲の気づきやいざという時に声をかけやすいように、周囲に人がいる場所や環境で車中泊を行いたい。

 また、夏場は水分補給に意識が向きがちだが、実は塩分の補給もそれと同じくらい大切。水分と塩分の両方の補給は疲労回復にもつながるので、運転で疲れた身体にもより効果的だ。

●心がけたい虫対策

 夏は、蚊やブヨなどの害虫が活発化する季節。密室狭小の車内に、蚊が1匹でも入り込んでいたら何か所も刺されてしまうかもしれない。

 最近は、「電撃殺虫付きLEDランタン」といった虫除けアイテムも数多く出回っているため、就寝時にこうした虫除けアイテムをうまく活用してもらいたい。 

●心がけたい防犯&災害対策

 車中泊は盗難やクマをはじめとする野生動物との接触といったリスクも伴う。ドアをしっかりロックしておくことはもちろんだが、局地的な豪雨や雷雨による倒木、土砂崩れなど不測の事態にも対応できなければならない。そのためには明るい時間帯に周辺の地理を把握し、避難経路を確認しておくことも大切である。

■夏の車中泊を快適にするコツ

川の近くは水音だけでも涼しく感じる

 夏の車中泊では暑さ対策を行いながら、いかに外気を車内にとり込むかで快適性は大きく変わってくる。その環境づくりが大切なので、ぜひ参考にしていただきたい。

●就寝場所

夏の車中泊は最低気温がポイントだ

 夏の車中泊で最も重要な要素が、就寝場所だ。日中、観光やレジャーをし、食事や読書、映画鑑賞など寛ぎの時間へ突入する際、できればその場所で就寝したい。

 就寝場所をどこにするかで重要なのが、最低気温の事前チェックだ。これで就寝時の快適さがグッと変わってくる。

 その基準は標高にある。1,000mで気温は約6℃低くなるといわれている。例えば、東京都心で最高気温35℃の時、標高約980mの富士山の麓である山中湖では29℃である。木陰になれば体感温度はさらに涼しく感じるだろう。最低気温も20℃前後だ(山間部は平野部より寒暖差が激しいため)。

 また、木陰や湖や川などの水辺付近も夏の車中泊に適している。水辺は周辺に建造物が少ないため、風が通りやすいのだ。さらに木陰が多ければ、風はひんやりと心地いいはずである。

●就寝時は冷感シーツなどを活用

クッションカバーに収納すればクッションに早変わり

 夏の車中泊の就寝時におすすめなのが「冷感シーツ」だ。すでに自宅で使用している方も多いかもしれない。吸湿速乾性に優れているため、汗をかいてもベタつかず、さらっとした状態をキープできる。

 洗濯機で洗えるものが多く、衛生的で長く使用可能。クッションカバーなどに入れておけば、コンパクトになり持ち運びにも便利だ。

 また、冷感シーツとあわせておすすめなのが「冷感ブランケット」。これで身体を包み込むと、サラサラな状態で快適な睡眠ができるだろう。シーツとブランケット共に両面使いができるものを購入することで、春や秋も活躍するので重宝する。

●網戸をセットして、車内に涼しい風を取り入れる

筆者の1BOXの後部座席に網戸をセットした様子。開放感も抜群

 夏の夜は車内が蒸し暑くなりがち。網戸をセットすることで、車内の換気がよくなり、外の涼しい風を取り入れることができる。そのためにも外気が心地よい就寝場所を選ぶことが重要になる。

 また、虫の侵入を防ぐ役目も果たし、安心して窓を開けて過ごせる。車用の網戸は取り付けや取り外しも簡単。軽量かつコンパクトに収納できるため、車中泊での快適な睡眠環境づくりに役立つアイテムだ。

 バックドアの開閉をS字フックにて調節(100均の針金S字を加工したもの)。これで外気を車内に取り入れることができて涼しい夜を過ごせる。

 貴重品やお気に入りのキャンプギアは、ドアロックのかかった運転席側に置くなどの防犯対策をしておこう。

バックドアの調整に使うS字フック。上は100均の針金を加工。下はホームセンターで購入した部品をDIYしたもの
短いタイプの使用例。ドアロックもされている

 S字フックを使いバックドアと車体に引っ掛けると、ドアが全開にならず隙間風が心地よく入ってくる。S字フックをかけたままドアロックもできるので、おすすめの対処法だ。