キャンプ道具を厳選する時、迷いがちなのが調理関連のギア選び。特にメスティン、コッヘル類はかさばるため、最も便利な1点をこだわって選びたい。そんな中、おすすめなのが密かに再注目されている「兵式飯盒」だ。できるキャンパーは、1周回って飯盒に帰る。
今回は、ご飯を炊く以外の飯盒の便利な使い方と簡単レシピを紹介していく。
■飯盒の特長を知ろう
飯盒といえば、子どもの頃の林間学校を思い出す人も多いだろう。ソラマメ型は、レトロな印象すらある。日本発祥で戦前に兵士が装備していたことから「兵式飯盒」と呼ばれ、飯盒炊爨(はんごうすいさん)という言葉が一般的なため「野外で米を炊く調理具」という認識が定着している。
米を炊くのにはメスティンを使うというキャンパーも多いが、飯盒は「蓋がしっかり閉まり密閉性が高い」「横にしても安定感がある」「底が深い」などの特長があり、米を炊く以外にも多くの料理で使うことができる。今回は、4合炊き「兵式飯盒」を使って調理した。
■トータル30分! 飯盒で作る絶品「ピザ」
飯盒の「横にしても安定感がある」特長を活かし、中に小さな網を入れ、1人サイズのミニピザを焼いてみた。調理時間は30分で、蓋を使わないため、中の様子がよく見え、微妙な焼き加減も調整しやすい。
ピザ生地など基本さえマスターすれば、どんな具材でもまず失敗はない。ダッチオーブンのように天井部分に炭を乗せて、上部からの熱も利用し一気に焼き上げるもよし。
◆「ピザ生地」(2枚分)材料
強力粉 シェラカップ1/2
薄力粉 シェラカップ1/2
ベーキングパウダー 小さじ1/4
牛乳50㏄
オリーブオイル 大さじ1
塩 1つまみ
ピザ生地の材料を全てジップ付きビニール袋に入れ、袋の上から手でもんで、10分置く。生地を袋から出し、まな板や皿の上で少量の強力粉を振りかけて粉打ちし、キッチンペーパーやアルミ箔の上で伸ばして形を整える。
ピザソースやトマトスパゲッティソースを生地に塗り、とろけるタイプのチーズを適量乗せてお好みの具材を乗せれば完成だ。粉を計量するときはシェラカップを使うのがポイントだ。
■飯盒を炭火に置いて10分待つだけ! 超お手軽「燻製」
飯盒の「蓋がしっかり閉まり密閉性が高い」という特長を活かし、燻製器として使うこともできる。飯盒は横、縦でも使用可能だが、今回は横置きにしてみた。
◆「燻製」材料
ゆでたまご(塩やみりん醤油で下味をつけておく)
ベーコン
ソーセージ
6Pチーズ
カシューナッツ(塩味付)
ザラメ 大さじ1
燻製用ウッドチップ 大さじ2~3
燻製をはじめる前に、ウッドチップが飯盒に焦げ付かないよう、アルミ箔で覆っておくのがポイント。飯盒の中の少し高い位置に網を敷き、上段に食材、下段にウッドチップとザラメが入ったアルミ箔で作った皿を置き、蓋を締めて、炭火の上に10分置くだけで完成!
燻製用ウッドチップにザラメを混ぜるのは、色づきをよくし、酸味を押さえるため。ザラメの代わりに麦茶パックの中身を混ぜる方法もあるが、どちらも混ぜるだけなので簡単だ。
どんな具材も燻製をすればよりおいしくなるが、塩味がしっかりついた食材の方が、燻製らしい味がした。
■野菜の皮を剥いてそのまま投下!「丸ごと野菜ポトフ」
飯盒の「底の深さ」を活かして、丸ごと野菜のポトフを作ってみた。野菜の大きさは好みだが、今回は野菜の形をできるだけ残し、丸ごと感を演出してみた。
◆「丸ごと野菜ポトフ」材料
ジャガイモ 1個
人参 1/2個
ズッキーニ 1/3個
玉ねぎ 1個
にんにく 1片
ソーセージ 1本
ベーコン 30g
オリーブオイル 小さじ1
コンソメ顆粒 小さじ2
ローリエ 1枚
塩、こしょう 適量
ジャガイモは、1個200gもある大物だったが、飯盒を使えば丸ごと火を通せる。ピーラーなどで野菜の皮を剥くだけでできるので、調理の手間が一切かからないのもポイントだ。
作り方は、オリーブオイルを引いた飯盒の中にまるごと野菜やソーセージ、ベーコンなどを全部投入し、油が野菜になじんだところで、水とコンソメ顆粒、調味料などを入れて、蓋をして煮込むだけ。
コンソメ顆粒で調味するので、味が整いやすくキャンプ料理初心者でも絶対にうまくいくはずだ。コンソメ顆粒の代わりにカレー粉を入れれば、「丸ごと野菜カレー」になるので、こちらもぜひ試してみよう。
■飯盒があれば、料理の幅もどんどん広がる!
飯盒の使い道は米を炊くだけじゃない。今回紹介した料理のほかにも、飯盒を使った調理法はたくさんあるが、どの調理法も野遊び感があり、アウトドアの醍醐味を味わいながら料理ができる。
「蓋がしっかり閉まり密閉性が高い」「横にしても安定感がある」「底が深い」などの飯盒の特長を知り尽くせば、飯盒1つで料理の可能性を無限に広げることも可能だ。
飯盒さえあればアウトドア料理はもっと楽しくなるはずだ。