■高山植物も見頃を迎える時期

四阿山の山頂に咲いていた「ウラジロキンバイ」 

 四阿山、根子岳ともに眺めのいい山だが、見どころはそれ以外にもある。初夏の季節には高山植物が多く花を咲かせているので、足元も賑やかだ。

 根子岳から四阿山まではウラジロキンバイやミツバオウレン、コイワカガミなどが咲いていた。下山中にはクリンソウが綺麗に咲く姿も確認できた。

下山中に見つけたクリンソウ。仏閣の屋根にある「九輪」に似ていることが花の名の由来

 根子岳は「花の百名山」にも選定されていて、時期に応じてさまざまな花を楽しむことができる。

■四阿山から中四阿を経由して、菅平牧場へ下山

気持ちのいい尾根を歩いて菅平牧場を目指す

 四阿山からは中四阿(なかあづま)を経由するルートで、菅平牧場へと下山する。途中、両サイドが笹に覆われ、藪漕ぎに近い状態になる場所があるが、全体的に見晴らしのいい尾根を歩くので、眺望を楽しみながら下山できるだろう。樹林帯に入ると、そこらじゅうにレンゲツツジが咲いており、新緑の緑と鮮やかな花のコントラストを楽しめる。

 標高2,106m地点にある中四阿は見晴らしはいいが、標識などはないので立ち寄る際は現在位置を確認しながら歩くと見逃しにくい。

 四阿山から菅平牧場まではおよそ2時間30分で到着する。見晴らしがよく、樹林帯を楽しみながら歩けるので、牧場までは実際にかかった時間よりもずっと短く感じた。

■四阿山・根子岳は日差しがよく届くコース! 紫外線対策は万全に

四阿山へと続く木道。日陰がないので紫外線および暑熱対策は万全に

 スタート地点である菅平牧場は標高が1,500mを超え、都心に比べれば夏でも気温は低く、東京都心との平均気温差は10℃近くにもなる。筆者が訪れた時は6月の中旬だったが、寒さを感じたほどだった。気温が低いのは歩きやすいが、根子岳、四阿山は総じて日陰のある場所が少ないので、日焼け予防の紫外線対策をしっかりとしておこう。日焼け止めはもちろんのこと、帽子着用、サングラスもあるといい。

 また、夏山ではいつも以上に汗をたくさんかくので水分補給も重要。ここで紹介したコースには水場がないため、十分な水分を用意・携帯し、水分をこまめにとりながら歩くことを心がけよう。

 紫外線対策、水分補給をしっかりと行い、熱中症に注意しつつ、絶景と高山植物を楽しみに四阿山・根子岳へと出かけてみてほしい。特に根子岳から四阿山への稜線の下り区間が素晴らしい景観なので、ぜひ歩いてもらいたい。

 

〈登山ルート〉
菅平牧場⇒(2時間)⇒根子岳⇒(1時間15分)⇒四阿山⇒(50分)⇒中四阿⇒(1時間40分)⇒菅平牧場

●【MAP】菅平牧場駐車場