すっかりブームから文化へと定着してきた日本のサウナだが、ここ数年では“アウトドアサウナ”という新たな分野が確立されてきている。サウナは温浴施設の中で楽しむものだったのが、わざわざ自然の中に出向いてやる人が増えてきているのだ。その背景には何があるのか? 今回はアウトドアサウナの社会的な存在意義について考えてみた。

■何かがヤバくなっている現代人

 安心、安全、快適! 

 街やスマホの中には娯楽が溢れまくっているし、あらゆるものが便利になって、現代社会は100年前の日本では考えられないほどのユートピアになった!

 みんなが幸せ! 最高だぜ! イェーイ!!

 ……って思っている人って一体どれだけいるんだろう? 苦労して手に入れたユートピアだったはずなのに、なぜか街には心を病んだ人が溢れていて、SNSに依存しないと自分の存在価値も見出せず、虚な目でゲームの世界に現実逃避。どんなに寝ても疲れが取れず、何もやる気が湧かずに日々をやり過ごしている人たちが、やたら増えている気がするのはなぜだろう? 理想の世界を手に入れたはずなのに、あまり幸せそうな顔をしていないのだ。

 便利になることは別に悪いことではなく、今さら100年前の不便な暮らしに戻ろうなんて思う人はいないだろう。でも、なにかがおかしい。生物として本能が「ヤバイ」と警鐘を鳴らしている。明らかに“なんらかのバランス”が崩れているのを感じるのだ。

 そんななか、多くの街の人たちが「アウトドアサウナ」の世界にハマり出している。あえて、安心・安全・快適とは対極の“大自然”にわざわざ出向いてサウナをしているのだ。

この開放感! 誰もいない川原でのテントサウナは最高の癒し体験だ

 自然の中でのサウナは、単に気持ちいい、開放感がある、癒されるなどの感覚的快感があるが、現代人を魅了している理由はそれだけではないはずだ。そこには、人間が本能的に欲する「2つのバランス調整」をするための衝動があると推測する。