■樹林帯を抜けると、迫力の山々の絶景が広がる!
5合目の大滝の頭の分岐を「小仙丈ヶ岳」方面に進み、6合目で樹林帯を抜け尾根に出た。ここからは雪道に変わるので、チェーンスパイクを装着した。
振り返ると、「鋸岳(のこぎりだけ)」と甲斐駒ヶ岳の絶景が広がっている。尾根から見る山容は圧倒的な存在感で言葉を失うほどだ。
登山道をさらに進んでいくと、雲が上がってきた。雲に浮かぶような山々の風景が絵になるので、つい止まってカメラを構えてしまう。鳳凰三山(ほうおうさんざん)と総称される「薬師岳(やくしだけ)」「観音岳(かんのんだけ)」「地蔵岳(じぞうだけ)」もきれいに浮かび上がってくれた。
視線を変えると「乗鞍岳(のりくらだけ)」もはっきりと見えていた。秋の山は空気が澄んで、遠くの山々も見える。他にも中央アルプス、北アルプスの山々や「御嶽山(おんたけさん)」など日本を代表する高山を眺められ、眼福の時間となった。
■雪化粧をした南アルプスの女王「仙丈ヶ岳」
「小仙丈ヶ岳」に到着。仙丈ヶ岳は3つのカール(氷河によって削られた地形)があるが、ここからは左下に「小仙丈カール」、右上に「大仙丈カール」が見られる。なだらかな形状のカールと、雪化粧をした美しい姿に女王たる所以を感じられた。
8合目まで来ると、眼下に「仙丈小屋」が見える。さらに下には山々が紅葉に染まっている様子も伺えた。小屋の営業は10月中旬〜下旬までということで今回は立ち寄らなかったが、抜群のロケーションなので次回は泊まってゆっくりと過ごしたい。
ラストスパート、山頂まで最後の稜線歩き。右に「薮沢カール」を見ながら、この日一番の積雪量がある登山道を進む。美しい姿に気を取られてしまうが、慎重に。そして、仙丈ヶ岳の山頂に到着。ゆっくり写真を撮りながらということもあり、コースタイムより少しかかって北沢峠から4時間程かかった。
山頂ではそれまでの雲で隠れてしまっていた、日本一の高さを誇る「富士山(3,774m)」と日本でニ番目の高さの北岳(3,193m)のコラボがきれいに横並びに見れた。
その後はピストンで北沢峠まで戻り、再び南アルプス林道バスに乗って仙流荘まで戻った。車窓からは夕陽に照らされたカラマツの紅葉が美しく見え、最後まで充実した登山となった。
■仙丈ヶ岳は本格的な冬が来る前に
南アルプス林道バスの運行終了まであと少し。2023年は11月15日までの運行を予定しているが、天候によっては予定より早く終了する場合がある。仙丈ヶ岳への登山を考えている人は早めに行動をして、秋と冬の短い狭間の時季を楽しんでみてはいかがだろうか。
●仙流荘駐車場
住所︰長野県伊那市長谷黒河内1847
URL:https://www.inacity.jp/kankojoho/sangaku_alps/minamialps/minamialps_jikokuhyo.html
●仙丈ケ岳
住所︰山梨県南アルプス市芦安芦倉
URL︰https://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/docs/senjyougatake.html