<前編はこちら>

 ハンモック泊用のスリーピングシステムの基本的な役割と、選び方の基本的な考え方を紹介した前編に続き、後編では引き続き、スリーピングシステムのバリエーションをいくつか紹介していきましょう。

■トップキルト+アンダーキルト

ハンモックの下にキルトがあれば、背中でロフトを潰さずに済みます(イラスト:東海林巨樹)

 「トップキルト+アンダーキルト」は、独特な方法で背面の冷えに対応する、ハンモックならではのシステムです。ハンモックの上面をトップキルトで覆い、背面はアンダーキルトを吊り下げて体全体を保温します。イメージ的には、上下からハンモックにスリーピングバッグを張り付けたものと考えるといいでしょう。

 アンダーキルトは、背面だけを覆える半身の寝袋のようなものです。地面で使用すると体重でつぶれてしまい保温力を発揮できませんが、宙に浮かんでいるハンモックの下を覆うなら、つぶれることなく本来の保温力を発揮できます。

 アンダーキルトは密着度が高く、位置の調整もしやすいので、快適性はほかのシステムよりも優れています。その反面、上下でそれぞれキルトを用意しなければならないので、システム全体では重くなる傾向にあります。またハンモックが設営できない条件下(地面で寝なければならない場合)では、アンダーキルトが背面の断熱効果を発揮できないため、使用できるのはハンモックが設営できる場合だけに限られます。冷たい空気が入り込まないよう、ハンモック底面と隙間を作らず密着させて使うのがポイントです。ハンモックの伸縮に追従するように、バンジーコードで連結する構造が一般的です。

ダウンキルトはハンモックならではのギア

 ちなみに、アンダーキルトはハンモックの専用品として製品化されている道具です。通常のスリーピングバッグと同じく、長さ(フルレングス、3/4レングスなど)、中綿の素材(ダウン or 化繊綿)、保温力の設定(ダウン封入量の違い)が細かく分かれているので、使用する気温に合ったものを選びましょう。

 一方、トップキルトとは体上面の保温に特化したスリーピングバッグを指します。軽量化のために背面とフードを省略した形状が特徴で、ハンモックに限らず、装備の軽量化にこだわるハイカーにテント泊でも使用されているものです。中綿の素材は主にダウン、または化繊綿です。

 トップキルトには、ハンモックの専用品はもちろん、地面(テント泊)で使用するトップキルトやスリーピングバッグもかけ布団のようにして代用可能です。