■法則は釣具店での情報入手方法 

 釣りが上手い・よく釣る人が身近にいるだろうか。筆者の経験では、釣りをある程度やっているとそんな人と出会うことが度々ある。釣具店での勤務経験を経て気づいた釣りが上手な人の共通点は、釣具店での情報収集能力にある。この記事では「よく釣る人」になれるかもしれない、有益な情報の入手方法を紹介したい。

■上達する法則 

 腕のいい釣り人の条件は、好奇心の旺盛さと情報収集能力にある。釣り場の条件や魚の生態に関心を持ち、観察能力に長けた人は成長が早い。知人やインターネットから得た情報を多角的に処理しながら、釣りで学んだ魚の習性と自然の法則を照らし合わせて、自分なりの釣り方を構築していく。何事にも興味を持ち、情報収集能力に長けており、その真偽を確かめ続けることで周りと差をつけて行くことが出来るのだろう。 

 しかし、日頃限られた時間のなかで釣りに行く時間を割くのがやっとの社会人にとって、有益な情報入手はかなりの労力と言わざるを得ない。そこで誰にでもできる方法として、釣り具店を上手く利用して楽しみながら情報を集めるコツを紹介したい。

筆者が愛用するルアーの数々。実績のあるルアーばかりだ(撮影:小塩勝海)

 釣具店は大きく2つに分けられる。個人店と量販店である。今回は初心者でも気軽に関わりやすい量販店にフォーカスしたい。釣具店を訪れた際、釣果情報や釣り具の質問をする時に手が空いていそうな店員を見つけて聞いている方が多いのではないだろうか。簡単な質問であればそれで問題ないが、ローカルでタイムリーな情報や釣りの詳しい技法的な質問には納得のいく対応をしてもらえないことがある。

 それもそのはず量販店で扱う釣りの種類は30~40種類はある。魚種にすると30種類近くになる。これを1人の店員が週休2日の休みを全て釣りに使ったとしても、1つの釣りが1年で1~2回程度になってしまう計算だ。もちろん基本知識は蓄えていても細かな応用やタイムリーで実践的な情報は誰かからの「また聞き」になってしまう。よって、お店の状況や店員の手が空いていそうなタイミングを見計らって聞く際には、まず店員の得意ジャンルを聞いておくことが大切である。

 自分の聞きたいカテゴリーの釣りを得意とするスタッフがどの人なのかが分かれば、技術的な話なども直接聞けるのでかなり有効である。釣具店スタッフの多くは得意ジャンルを生かして活躍している方が多い。釣りメーカーのテスターや地元でやり込んでいる常連さんなどから入ってくる情報と、店員自らが集めた情報を加えたフィールドの情報をいち早く聞くことができる。そうして集めた情報を自分でフィールドに赴いた際に実践すれば、釣りの技術向上にも役立つはず。

 ただし、釣果情報や技術情報を鵜吞みにしてしまうのはNGだ。例えば「どの場所でどんな時に釣れた」などの情報を得た場合、その場所に足を運んで実際に釣りをしてみることが大切。すると、さまざまな発見があるからだ。新しく得た情報に再現性があるのかないのかを確認してみること。情報提供者が釣った時と何が違ったのか、あるいは何が同じだったのかが見えてくるのだ。

「風が吹けばスピナーベイト」の情報はそれなりの条件が揃ってはじめて成立する(撮影:小塩勝海)