■新しく生まれ変わる予定の「みさき公園」

 いま、大阪の遊園地(テーマパーク)といえば「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」の一人勝ち状態だが、かつては鉄道会社の開設した遊園地がいくつかあった。ひとつは現在でも営業中の「ひらかたパーク」。運営は京阪の関連会社だ。残りは「近鉄玉手山遊園地」、南海の「さやま遊園」と「みさき公園」。この3園は閉園となっている。

 玉手山遊園地とさやま遊園は、現在、市が管理する公園となっており、みさき公園も町立公園として再開を果たしていた。ジェットコースターなどの遊具や動物園、水族館はなくなったものの、敷地は開放されていたのだ。しかし、2022年9月に民間業者との間で整備運営の契約を締結。グランピングなどの施設を備えたレジャーランドとして生まれ変わる予定だ。

みさき公園入り口ゲート。現在は整備のために休園中

■国玉神社と深日町駅

 そんなみさき公園の最寄り駅である「みさき公園駅」からは、南海線の支線が延びている。多奈川線である。多奈川線は潜水艦などの軍用艦を建造していた川崎重工泉州工場への足として、戦時中の1944年に開業。現在はみさき公園駅から多奈川駅までの2.6kmを結んでいる。

 みさき公園から旧国道26号線(現府道和歌山阪南線)に沿って歩く。取材日(9月24日)は岬町の秋祭りも近いとあって、あちらこちらに御神燈の提灯が挙げられていた。秋祭りは町内に鎮座する3つの神社で行われ、その中の1社が「国玉神社」だ。

国玉神社の鳥居

 創建は不明だが、平安時代の神社一覧「延喜式神名帳」に名前が見える古社。小山の上にあり、境内を覆ううっそうと茂った鎮守の森が神聖な雰囲気を醸している。

 神社から元の道を出て、府道のロータリーわきにあるのが深日(ふけ)町駅だ。駅舎は地上に位置するがホームは高架上にあり、線路を支えるアーチ状の橋げたが特徴である。

深日町駅の駅舎とアーチ状の橋げた