中国地方の最高峰である大山(だいせん)は、日本百名山にも選定され、人気の高い山だ。その大山の名がついた国指定の特別天然記念物の「ダイセンキャラボク」という植物がある。2022年9月末に登った時、ちょうどダイセンキャラボクが赤い実をつけており、心が躍った。ダイセンキャラボクや、大山登山についてレポートしよう。

■百名山・大山は中国地方の最高峰であり、多くの登山者でにぎわう

麓から望む大山北面
伯耆富士と呼ばれる大山西面

 大山は、複数のピークの総称で、剣ヶ峰(けんがみね)、弥山(みせん)、天狗ヶ峰、三鈷峰(さんこほう)などからなる。最高峰・剣ヶ峰は標高1,729mで中国地方最高峰でもあるが、崩落が激しいため剣ヶ峰への縦走路は現在立ち入り禁止となっている。そのため、一般登山者のためのメインルートである夏山登山道のゴールである「弥山(標高1,709m)」が山頂とされている。

 夏山登山道は危険な箇所はなく、地元の小学生たちも集団登山していた。百名山としては登りやすい山であり、中国地方最高峰ということもあって、夏山シーズンには県内外からたくさんの登山客が訪れる。登山道はよく整備され、頂上にはトイレがあるので、登りやすい山である。とはいえ往復6時間程度かかるので、思いつきで登るのではなく、きちんと計画を立てて、装備を整えて登ってほしい。

 正式名称は大山であるが、昔の国の呼び名である「伯耆(ほうき)の国」の象徴でもあり、「伯耆大山(ほうきだいせん)」、「伯耆富士(ほうきふじ)」と呼ばれることもある。

■つらい樹間の階段歩きが6合目まで続く

 昨年9月末の平日に登ったのだが、登山口に近い南光河原(なんこうがわら)駐車場(50台)には8時到着。奇跡的に1台分の駐車スペースが残っていたので、駐車することができた。土日や、紅葉シーズンはさらに混むことが予想されるので、早めの到着をおすすめする。南光河原駐車場には登山届を提出するポストやトイレも完備されている。満車の場合は観光拠点でもある県営大山駐車場(600台・トイレ有り)に停めて登山口まで歩こう。登山届は南光河原駐車場のポストを利用するとよい。

 1合目から6合目あたりまでは初めは杉の木立の中、次第にブナ林の中の階段状に整備された登山道をひたすら登る。樹林帯を進み、汗が噴き出てくる。このブナ林は、西日本最大級の広さだ。紅葉には早かったが、ブナ林が黄金色に紅葉する様子も見事であろう。

■避難小屋あたりまで登れば、素晴らしい眺望が開ける

6合目避難小屋からの三鈷峰(撮影:笹田けいこ)
6合目付近からの日本海。弓ヶ浜や島根半島の曲線が美しい(撮影:笹田けいこ)

 6合目まで登ると、一気に視界が開ける。左側は荒々しい北壁の絶景。右側は天気が良ければ、樹の間から日本海が見える。避難小屋もあり、多くの人が休憩している。ここから先の登りは、大山北壁や日本海が見えるポイント満載だ。気分が上がり、同じような写真ばかり撮って、なかなか先に進めない。

 大山は、「伯耆富士」とも呼ばれる。それは西側から見た山の姿が、富士山のようなすそ野が広がった美しい形だからだ。しかし、北面、南面、西面は切り立っており、見る方向によって様々な姿を見せる。夏山登山道からは、北面がよく見える。登山道も岩がごつごつした道になり、息が上がる。