由布岳は、大分県にある標高1,583mの山だ。

 その見事な山容から「豊後富士」の別名を持つ。百名山の生みの親である、深田久弥も百名山に入れなかったことを後悔したと言われるほどの山である。

 由布岳はどんな山なのか、どうして由布岳は百名山に入れなかったのかについてお伝えし、あわせて近くのスポットも紹介する。

■由布岳はどんな山?

登山口からはバスが発着し、近くには駐車場もある(写真:川内 勇貴)

 由布岳は美しい山体に、西峰と東峰という2つの頂を持つ特徴的な双耳峰であり、由布院盆地からはどこの方向からも確認できるため、この地域の象徴的な山として愛されている。

 どのような特徴を有しているのかを紹介する。

●四季折々の景色

 由布岳では5月から6月中ごろまでにピンクの花を咲かせるミヤマキリシマが見られるほか、冬には樹木に霜がつく「霧氷」が並ぶ白い景色を見せることもある。

 また、霧の出る日には「ブロッケン現象」という、高山で日の出や日没時に太陽を背にして立つと、前面の霧や雲に投影された自分の影の周りに虹の輪が浮かび上がる現象も見られる。

●湯布院温泉のランドマーク

 古くから神のいる山として崇められ、地元の人々に親しまれている。山は円錐形をしており、麓側から見る由布岳は見事だ。

 由布岳の麓には「湯布院温泉」があり、大分では別府に続く湯量を誇る。おしゃれな店が立ち並ぶ「湯の坪街道」は日本からはもちろん、海外の旅行者からも人気だ。

 湯の坪街道から見える由布岳も絶景である。

●山頂付近は険しい

中腹からの景色。中腹まではのんびりとした雰囲気で景色を楽しめる(写真:川内 勇貴)
東峰から見た西峰、険しさがわかる(写真:川内 勇貴)

 由布岳登山は、大分と熊本を結ぶドライブルートとして有名なやまなみハイウェイの駐車場側から登り出し、東峰、西峰それぞれを登頂する往復5時間ほどの登山道が一般的。

 山頂までの道中はよく整備されており、山頂手前まではジグザグとした道で斜度もきつくない。道も分かりやすく危険な箇所もほとんどない。

 山頂手前の東峰と西峰を分けるマタエからはそれまでの雰囲気とは異なり、かなり険しい。西峰はとりつきから鎖場となっており、難易度は高い。比較的登りやすい東峰でも滑落事故が起きているため、油断は禁物だ。

 山頂からは湯布院の街並みを眼下に、舞鶴岳や天気のいい日には遠くに九重連山も見ることができる。