2023年のゴールデンウィークは、3年ぶりに行動制限がない大型連休となる。円安の影響もあり、既に多くの外国人観光客が全国の観光地に戻ってきた。

 多くの観光客で賑わっていた有名観光地でもコロナ禍では人影もまばらだった。そのため、京都では、住民だけが静かで雅な京都を感じられるという皮肉な現象もみられた。沖縄でも度々行動制限が実施されたことで観光客は激減し、驚くほど静かな時間が流れていたのである。

暇だからご案内しますよ、という感じでカメラマンの後をついてきた 写真©シマネコキネマ
フクギ並木の入り口で、観光客を待ちわびていたキジトラ

 備瀬のフクギ並木といえば、沖縄本島北部を代表する観光スポットのひとつ。木漏れ陽が差し込む白砂の道が美しく、近年では、緑のトンネル内で観光客の自転車が渋滞するほど人気を集めているのだが、撮影に訪れた日は春の雨がしとしとと降りそぼる朝。さらに、取材時にはコロナ禍の影響もあって、観光客はもちろん人影そのものがまばらだった。しかし、集落の住民や島猫たちにしてみれば、久しぶりに本来の備瀬の姿に戻ったと言えるのかも知れない。

フクギ並木の入り口で、観光客を待ちわびていたキジトラ
民家のガレージで寝ていた老猫。起こしちゃってゴメンニャサイ
木々に落ちる雨音だけが響く。こんなに静かな備瀬は久しぶりだニャ〜

 駐車場に車を停め、順路に沿ってフクギ並木を歩いていくと、さっそく1匹のキジトラが「待ってました〜」とばかりにかけ寄ってきた。ソーシャルディスタンスではないが、ある程度の距離がないと「島猫百景」としての写真は撮れないのでそろそろと離れようとするのだが、すぐに「なでて〜」「かまって〜」とすり寄ってくる。

 数年前に備瀬で撮影をした時には、しかぶ〜(怖がりですぐ逃げてしまう)猫しかいかなったので、ここ数年の観光地化で備瀬の猫もずいぶん変わったんだなぁと思った。キジトラはその後もしばらく撮影隊の後を追いかけてきたが、テリトリーの境界線とおぼしき十字路で立ち止まり、見送ってくれた。

ゴミ置き場をあさっていたボスらしきオス
海岸でエサを探していた猫はこっそり覗いていた 写真©シマネコキネマ
過剰なエサくれ攻撃をしてきた茶トラくん