「日本庭園 由志園(ゆうしえん)」のある島根県松江市八束町(やつかちょう)は、牡丹の生産量日本一である。「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」と美人のたとえにも用いられる牡丹だが、由志園では、ゴールデンウィーク期間中のみ見られる絶景がある。水面に浮かべた3万輪もの牡丹が埋め尽くした日本庭園の池だ。

 この絶景は、もともと牡丹の株の生産のために摘まれていた花を何か活用できないか、というところから考案された。いわば、地元農家の協力のもと生み出されたサスティナブルな恒例行事なのだ。

 また、この絶景はゴールデンウィーク最終日にだけ驚きの変化を遂げる。果たしてどのように変化するのか。由志園の魅力とあわせて紹介する。

由志園では一年を通して牡丹が観賞できる(撮影:菅沼とわこ)

■由志園へのアクセス方法

 島根県にある由志園だが、飛行機でアクセスする場合は、鳥取にある「米子鬼太郎空港」が圧倒的に近い。ただし、空港からは由志園行きの公共交通機関がないため、レンタカーを借りるなどして車でのアクセスとなる。

 電車を利用する際は、松江駅・境港駅どちらからでもバスが走っているが、境港駅からのバスは日曜・祝日・年末年始等は運休となるため、注意が必要。なお、ゴールデンウィーク中は松江駅・米子駅・皆生温泉から無料シャトルバスの運行もある。

■庭園としても美しい由志園

苔が美しい庭園(撮影:菅沼とわこ)
庭園内では滝も見られる(撮影:菅沼とわこ)

 牡丹による絶景が印象的な由志園だが、前提として庭園そのものが美しい。庭園内では、至るところで均一に地面や石を覆う苔が見られ、人手によりていねいに管理されている様子がひと目でわかる。また、石の間を水が流れる自然に近い景観から、築山などが設けられた日本庭園に代表される景観まで、限られた敷地内でさまざまな眺めを楽しめる。

 屋内施設「牡丹の館」では、一年中牡丹を観賞することができ、色鮮やかさもさることながら、自身の手のひらを超えるほどの花の大きさに感動する。まさに百花の王の名にふさわしい花だ。