■日帰りでも十分大自然を満喫できる登山ルート

 スイス、フランスと国境を接する北イタリアのヴァッレ・ダオスタ自治州には、世界中の登山愛好家が夢見る雄大な山々が集まっている。モンブラン、マッターホルン、グラン・パラディーゾ、モンテ・ローザの4つは「イタリア4大アルプス」と呼ばれ、いずれも4,000m超の標高を誇る。

 イタリアのアルプス歩きの特徴は、こうした雄大な山々が高地で繋がっており、その気になれば何日間も下山することなく山から山へと渡り歩くことも出来るという点にある。しかしながら、外国で山登りをするのはちょっと不安だし、そこまでの装備も体力もないという旅行者はまだまだ多い。

 でも、実は4大アルプス周辺には、そんな人々のために半日や日帰りでも十分大自然を満喫できる登山ルートがたくさん用意されている。モンブランやマッターホルンほど有名ではないが、イタリア・アルプス初心者にぜひとも体験してみて欲しいモンテ・ローザの登山ルートをご紹介しよう。

モンテ・ローザを満喫するためのベースとなるシャンポリュック村(Champoluc)。おしゃれなホテルやレストラン、パブ、ショップなどが集まっていて、欧米の山愛好家に人気だ

■登山ルートの始点サン・ジャック村

 モンテ・ローザの中心地シャンポリュックから今回の登山ルートの始点があるサン・ジャック村までは、近隣の村々を巡回しているバスで移動し、そこから歩き始める。サン・ジャック村は標高1,689mに位置し、登山道の入り口から終点となるブルー湖まで、歩きやすく整備された山道が続いている。コースの標高差も550mと緩やかなので、周囲の雄大な風景をたっぷり楽しみながら気楽なトレッキングを満喫できるのが、このルートの魅力となっている。

 途中、休憩や食事もできる山小屋が1つか2つあるが、どんなにお気楽なコースでもアルプスの山の中に入る限り、最低限の食料と水、雨具やトレッキングシューズなどの装備を持参するのは基本中の基本である。サン・ジャック村には食料などを売っている店もほとんどないので、ランチ用のパニーノやチョコレートなどの非常食はシャンポリュック村で用意してから出かけるようにしたい。

赤い線で囲ったエリアが今回ご紹介する登山ルート。起点となるサン・ジャック村までは巡回バスで15分ほど。ここからまずは目印となる山小屋リフージョ・フェッラーロを目指して歩き始める
サン・ジャック村に置かれた各登山道への入り口の標識。ヴァッレ・ダオスタの山々は登山ルートの標識がわかり辛いことで有名なので、事前にツーリスト・インフォメーションで登山用マップをもらっておき、分岐点ではマップと参照しながら確認するのを忘れずに