静岡県の東部に位置する伊豆半島は、温暖な気候で春ハイキングにぴったりな場所である。寒さが緩んでお出かけ日和が増えてきたこの季節、伊豆で本格登山シーズン前の足慣らしのハイキングを楽しんでみてはいかがだろう。

 今回は天城湯ヶ原と西伊豆町の境にある猫越火山群(ねっこかざんぐん)の中央部に位置する、仁科峠(にしなとうげ)から猫越峠を周回するハイキングの魅力を紹介しよう。

 このエリアは、かつて猫越火山が噴火した際の溶岩流が作り出した地形が広がっている。今回のコースは、熊笹の広がる稜線をのんびりと歩きながら駿河湾や富士山、南アルプスの展望が望め、往復3時間程度と初心者でも気軽に楽しめるのが特徴だ。

■仁科峠から猫越岳への稜線歩き

仁科峠駐車場から登山道へ

 ハイキングの玄関口は、伊豆縦貫自動車道大平ICから約35分の位置にある仁科峠駐車場、もしくは西天城高原駐車場。西天城高原駐車場から仁科峠駐車場へは徒歩3分程度なので、仁科峠駐車場が満車の場合はこちらに車を停めよう。

 駐車場にはトイレがないので、道中の道の駅やサービスエリアで済ませてからハイキングに挑むこと。

熊笹に囲まれた稜線を歩いて仁科峠展望台へ

 このハイキングコースでは、仁科峠駐車場から仁科峠展望台、後藤山を経由して猫越岳に向かう。仁科峠駐車場からは、熊笹に囲まれた登山道を進む。道はよく踏み固められており、傾斜も緩やかなのでとても歩きやすい。5分ほど歩くと、標高900mの仁科峠展望台に辿り着く。

仁科峠展望台から望む富士山と高原の景色

 展望台からはパノラマの絶景が楽しめ、富士山や南アルプスの山々が望める。また、天気が良ければ西天城高原の牧場で放牧されている牛を眺めることもできる。仁科峠展望台にはベンチがいくつか備えられており、猫越火山の溶岩流でできたと思われる「ナベ岩」もあり、ドライブがてら立ち寄って景色を楽しむ人も多い。

猫越火山の溶岩流でできたナベ岩
仁科峠から後藤山までは樹林帯の中を歩く