爽やかな秋晴れに恵まれ、最高のキャンプ日和となった9月10日・11日。標高1,500m、乗鞍高原にある長野県松本市のキャンプ場「乗鞍BASE」で、アウトドアイベント「乗鞍アウトドアサミット Supported by Columbia」が開催された。主催者のどのような想いのもと、どんなコンテンツが揃うイベントになっていたのか。そんな当日の模様をお届けしよう。

■フィールドの特性を活かしたワークショップが充実

オートキャンプサイト。このイベントの出店社のひとつである松本市発のアウトドアブランド「ゼインアーツ」のテントタープが多く目に留まった(撮影:松元麻希)

 今回、乗鞍アウトドアサミットの会場となった乗鞍BASEは、世界最高峰のアウトドアドキュメンタリー映画祭「バンフ・マウンテンフィルム・フェスティバル・イン・ジャパン」、2019年秋に開催されたアウトドアイベント「乗鞍アウトドアフェスティバル」など、さまざまなイベントが開催されてきたキャンプ場だ。北アルプスの最南端、乗鞍岳の東麓に広がる乗鞍高原にあり、ここを拠点にすれば、登山、ロードバイクマウンテンバイク、キャニオントレッキングスキースノーボードといったバリエーションに富んだアクティビティを楽しむことができる。

 イベントでは、そんなフィールドの特性を活かしたアクティビティがいくつも用意され、参加者たちは快晴の乗鞍高原を舞台にアウトドアを満喫していた。

アウトドアメーカー「エイアンドエフ」と長野県内に店舗を持つ自転車&アウトドア専門店「クランプ」の出店ブース。エイアンドエフが取り扱うマウンテンバイクの試乗会を共同で実施(撮影:セツ・マカリスタ―)
手掴みしたイワナを、薪集め、焚火、熾火づくり、捌き、串作り、化粧塩などの行程を経て塩焼きにするという、地元ガイド「リトルピークス」のプログラム。ほか、ブッシュクラフト教室やキャニオントレッキングも実施された(撮影:セツ・マカリスタ―)

■「自然を楽しみ、学び、守る」乗鞍高原の未来を見据えたコンセプト

イベントのメインスポンサーであるアウトドアメーカー、コロンビアのブースでは、サンプル品の販売が行われた。売上はなんと、すべてが乗鞍高原トレイルの整備費用に!(撮影:セツ・マカリスタ―)

 乗鞍高原のもうひとつの特色は、国内初の脱炭素の先駆け、“ゼロカーボンパーク”として認定されていること。今回のイベントも「地球温暖化や気候変動からこの美しい自然を守るため、また、これから100年、200年にわたって、この乗鞍の自然が続き、訪れる人が楽しめるようにと想いを込めたキャンプイベント」という、未来を見据えた価値観がコンセプトに掲げられている。

 イベント参加者は、トレイル整備を体験したり、各ブースで展示・販売されているエコな商品に触れたりするなど、コンテンツを楽しみながらサスティナブルな価値観を味わうことができたようだ。

松本市のブースで販売されていたのは、DMO「松本市アルプス山岳郷」が福岡県の企業と共同開発した、乗鞍温泉の温泉水を使ったキッチンクレンザー。自然由来100%の界面活性剤を含み、99%以上が微生物によって分解されるという(撮影:松元麻希)
自動車メーカー「日産」ブースでは、脱炭素に欠かせない電気自動車の試乗体験、電化製品への給電のデモンストレーションが行われた(撮影:松元麻希)
飲食ブースには、松本市の酒蔵「大信州」とクラフトビールメーカー「松本ブルワリー」も出店。大信州はアルミボトルを、松本ブルワリーはゼインアーツとのコラボレーションビールの限定販売を実施(撮影:松元麻希)

 「温泉だけじゃなく、山だけでもない。乗鞍高原にはたくさんのトレイルがあり、さまざまな遊び方ができます。そんな乗鞍高原の魅力を多くの人に知ってもらいたいという想いで、このイベントを企画しました」

 運営を担当した地元アウトドアスクール「NORTHSTAR」代表の山口謙さんは、イベント開催への想いをこう語ってくれた。来年の開催も検討中とのことなので、期待したいところだ。そしてイベントの有無に関わらず、この魅力あふれるサスティナブルなフィールドへ、好きな季節に、好きなスタイルで足を運んでみてほしい。