長野県の善光寺では、数え年で七年に一度、御開帳が行われる。正式には「善光寺前立本尊御開帳」といい、まさに2022年が開催される年だ。そこで前回と前々回に訪れた御開帳の体験を通し、この大きな儀式の感動を伝えていきたい。

■庶民から厚い信仰を集める善光寺

以前訪れた際は長野駅に降り立った時点で御開帳ムードがはじまっていた

 古くから「遠くとも一度は参れ善光寺」と語り継がれる善光寺は、一生に一度はお参りしたい寺院。全国的にも珍しい無宗派の寺院で、宗派を問わずに門戸を開いている。個人的にも、小学校の校外学習で初めて訪れ、大人になってからは県外から訪れた親類や友人を案内したり、スキーや登山の帰りに立ち寄ったりと、思い出が多い寺院なのだ。

 現在は故郷の長野を離れて暮らしているが、前回の2015年と、前々回の2009年には、わざわざ御開帳のために善光寺を訪れている。七年に一度しか行われない「御開帳」は、まさに遠くともお参りに来たくなる大きな儀式なのだ。

■「善光寺前立本尊御開帳」とは?

食べ歩きや買い物が楽しい参道。コロナ禍がなかった頃はたくさんの人で賑わっていた

 善光寺の御本尊の阿弥陀如来は日本最古の仏像といわれ、決して見ることが許されない絶対秘仏だ。鎌倉時代に本尊の身代わりとして、同じ姿とされる「前立本尊(まえだちほんぞん)」が造られたのだが、この仏像も普段は宝庫に安置されていて姿を見ることが叶わない。しかし、七年に一度の御開帳のときだけ「前立本尊」を本堂に迎え、姿を拝むことができるのだ。

 本来は昨年に御開帳が行われるはずだったが、感染拡大防止をかんがみて1年延長になっていた。その善光寺前立本尊御開帳が、2022年春に行われるのだが、今回は期間を1カ月延長し、4月3日(日)~6月29日(水)と88日間にわたって開催される。

■長野駅からバスや徒歩でアクセスできる

善光寺の山号である「定額山」の額が掲げられたに仁王門

 過去の御開帳ではいずれも新幹線を利用して訪れている。長野駅から善光寺方面に向かうバスも出ているが、徒歩でも行けるのでブラブラと散策しながら向かうのもおすすめだ。所要時間は20分ほど。まっすぐ続く参道に商店が点在し、街と寺が一体になった雰囲気が味わえる。

 参拝者を最初に迎えてくれるのが仁王門だ。阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)の仁王像が安置されているのだが、一般的な配置とは逆なのだとか。この門をくぐると石畳の参道沿いにズラリと土産屋が並んで一層賑やかになる。