■メラーノ名物の「柱廊通り」で街歩き

 さて、教会を後にして街歩きに戻ると、メラーノ名物の「柱廊通り(Laubengasse)」に出る。この通りは13世紀から続く商人たちの通りで、アーケードに覆われた歩道が左右に連なっている。柱廊の下にはブティックやカフェ、書店、地元の工芸品を扱う小さな店が並び、日差しや雨を避けながら買い物を楽しめる。私はアーケードの下をゆっくりと歩きながら、ウィンドウ・ショッピングに夢中になる。

 よくよく店を吟味してみると、メラーノの商店街には、いわゆる「お土産物」的なお店はほとんどない。多いのは、大型のスポーツ用品店、スペックやサラミ、地元のビールやワインを揃えた食材店、あとはトレッキングにも使えそうなスポーツタイプの靴を揃えた靴屋。その他、大手ブランドの洋品店やアクセサリー店、本屋、カフェやレストランなどが柱廊に軒を連ねている。ここでチロル風のデザインの陶器などないか、とちょっと気の利いたお土産を探していた私は、旧市街の隅から隅まで歩き回って結局一軒も陶器ショップを見つけることができなかった。

柱廊通りはアーケードに覆われたメラーノ随一のショッピングストリート

 くたくたになるまで歩き回ったところで、ようやく夕食の時間がやってきた。夜は旧市街の小さなレストランで、地ビール片手に郷土料理を堪能しようと決めていた。オーストリア風の肉の煮込み、子豚のすね肉の丸焼き、スペックのグリルやカネーデルリなどなど、どれもこれもビールにビッタリの美味しさ。最後はもちろん、自家製のリンゴのシュトゥルーデルと温かいラズベリーソースをたっぷりかけたジェラートで締めくくる。明日は町外れに自然散策に出かけてみることにし、ビールグラスを空にした。

文・写真/田島麻美

ビールは実に種類が豊富。最近はイタリアでもノンアルコールビールのブームがきているらしく、ノンアルコールビールもかなり美味し