円柱形の本体から銅管が突き出た奇抜なビジュアル。一見何に使うかわからない不思議なアイテムは、筆者が動画サイトでアルコールバーナーを検索中に偶然見つけたものだ。
動画を再生してみると、デザインだけでなく、実用性も兼ね備えたアルコールバーナーだとわかり、実際に購入し、試してみることにした。
今回は、登山やキャンプのアイテムを取り上げる「minimum 365 Outdoor Gear Lab(ミニマム365アウトドアギアラボ)」で、YouTube動画合計再生回数が100万回を超え、注目を集めている「パイトーチ型アルコールバーナー」の着火方法など使い方を解説する。
また、トランギアのアルコールバーナー「TR-B25」との比較を通じて、その実力も検証する。
■「パイトーチ型アルコールバーナー」とは何か
奇抜な型だが、ここ数年で新しく開発されたアイテムではない。調べてみると、約30年前に理工開発株式会社から商品名「パイトーチ」として販売されていたようだが、現在は製造も販売も行われていない。筆者は今回「RAMIXER(ラミクサー)」の「パイトーチ型アルコールバーナー」を入手した。
●燃焼ポイントは、銅管と小さな穴
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「パイトーチ型アルコールバーナー」は、アルコール燃料を蒸発させて燃焼させる仕組みだ。銅管が熱を効率的に伝え、燃料を温めてガス化を促進する。ガスは銅管内でさらに加熱され、中央にある小さな噴出孔から出た後に、空気と混ざり着火すると炎になる仕組みだ。
●燃料の入れ方と点火・消火の方法
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燃料は上部の手回しできるネジ式の栓を緩めて「燃料用アルコール(95%濃度の燃料用アルコール)」を入れる。満タンが50mlなので、付属の30mlミニボトル1回分プラス20mlで満タンになる計算だ。
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「パイトーチ型アルコールバーナー」への着火だが、本体から突き出ている銅管にアルコール燃料を5滴ほど垂らし、ライターなどで火を点ける。最初はチョロチョロと燃え始めるが、5秒ほどでゴーッという音とともに本燃焼が始まる。消火はロウソクの炎を消すように、息を吹くだけなので簡単だ。
●「パイトーチ型アルコールバーナー」は風に強いのか
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消火方法が「息で吹いて消す」であるため、風に弱いと推測できたが、実際にどの程度の風速で消えるか風速計を用いて計測した。サーキュレーターの風量を固定し、炎からの距離で風の強さを調整する方法で検証。結果は0.8m/S(木の葉が動く程度)で消えたので、風防の使用は必須だろう。