■丹沢山塊の表尾根の絶景を楽しみながら歩く「二ノ塔・三ノ塔」登山レポ
●ヤビツ峠から二ノ塔
ヤビツ峠を起点に、まずは二ノ塔を目指して進む。複数の起点から、さまざまなコース取りが楽しめる丹沢だが、その多くはロングコースになりがち。しかし、ヤビツ峠から三ノ塔を目指すコースは、比較的距離が短く、高低差も大きくないため、丹沢デビューにもぴったりだ。
さて、秦野駅からバスでヤビツ峠に着くと、多くのハイカーが準備を整えていることだろう。バス停にはトイレや自動販売機もあるのでありがたい。
ここヤビツ峠からは、2つの登山道がある。1つは今回歩く三ノ塔を目指す表尾根コース。もう1つは、阿夫利(あふり)神社が有名な大山へと続くコースだ。各コースの入口には案内板が設置されているので心配ないが、大山方面への登山道と間違えないよう気をつけよう。
「岳ノ台(がくのだい)ハイキングコース」を進み、まずは岳ノ台を目指そう。ヤビツ峠からは1.4kmあり、30分から40分ほどの距離だ。木々に囲まれた自然豊かな登山道を進み、展望台が見えてきたら岳ノ台山頂はすぐだ。
岳ノ台から先もしばらくは樹林帯歩きが続くが、二ノ塔山頂が近づくにつれて視界が開け、大山や岳ノ台、そして秦野市街が一望できるようになる。岳ノ台から二ノ塔山頂まではおよそ1時間、標高差約240mの登り。特に二ノ塔山頂直下は長い階段が待ち受けているので、踏ん張りどころだ。
●二ノ塔から、雄大な景色とともに稜線を進み三ノ塔へ
二ノ塔山頂で休憩したら、いよいよ三ノ塔を目指して出発だ。と言っても、二ノ塔と三ノ塔は20分ほど離れているだけなので安心してほしい。この20分間は、本コースのハイライトというべき美しい稜線歩きが待っており、大山や塔ノ岳、箱根の山々から相模湾までさまざまな景観を堪能できる。三ノ塔山頂の休憩所はもうすぐだ。
三ノ塔山頂は、周囲をぐるりと360度見渡せるパノラマビューが魅力。晴れた日には富士山も姿を見せてくれる。山頂は遮るものがないために強風が吹くことがあるので、そのときは小屋に避難しよう。
●ヤビツ峠へ戻るもよし。さらに先へと進むもよし。丹沢の懐は広い
丹沢の魅力を知る登山コースとして、ヤビツ峠からの三ノ塔を紹介した。三ノ塔に登頂し景色を楽しんだら、歩いてきた道を戻りヤビツ峠からバスで帰路に就くことができる。ただしこの場合、ヤビツ峠発のバス本数が少ないため最新情報を確認のうえ、スケジュールを立ててほしい。
一方、この先に続く表尾根をさらに進み、塔ノ岳へと登ったのち大倉へと下りるコース取りも可能だ。丹沢の広大な登山道は、ハイカーの技術や体力に合わせて選択でき、変化に富んだ景色を楽しむことができる。
ただし、12月以降は積雪の情報にも気を配りたい。例年、丹沢の降雪は1月中旬以降だが、12月に積もることもある。降雪がなくても早朝は登山道が凍結している場合があるので、念のためザックに軽アイゼンを入れておくと安心だ。しっかりと準備を整え、ぜひいろいろなコースを歩き、丹沢の魅力を味わってほしい。