2024年7月3日、20年振りに新紙幣が発行された。新紙幣の新しい顔としてよく知られているのが、1万円札に印刷されている「渋沢栄一」だろう。

 「近代日本資本主義の父」と呼ばれ、江戸から明治・大正・昭和へ至る激動の時代を奔走した彼の人生は、NHK大河ドラマ『青天を衝け』でも描かれた。

 東京都北区王子の飛鳥山は、渋沢栄一が本邸を構え、長年暮らした場所だ。ゆかりの建物や史跡も多く、自然豊かでアップダウンがあるため、ハイキングのように街歩きが楽しめる場所と言える。

 今回は渋沢栄一が暮らした飛鳥山を中心に、ゆかりの地や産業遺産をめぐるコースを紹介する。お札(日本銀行券)を実際に作っている国立印刷局の工場もあるので、新紙幣に想いを馳せながら、渋沢栄一の軌跡を辿ってみよう。

■王子駅前の「洋紙発祥の地」からスタート

渋沢栄一の情報も満載の「洋紙発祥の地碑」

 JR王子駅を降りると、さっそく至るところに「渋沢栄一」の名前を見ることができる。これは、この街に渋沢栄一が長年暮らしていたからで、王子駅を中心に渋沢栄一ゆかりの地が点在している。

 JR王子駅前には路面電車も走る複数車線の広い道路があるため、陸橋を渡って駅前から飛鳥山方面へ。ちなみに、この路面電車のルーツとなった「王子電気軌道」も渋沢栄一らの支援により創設された。

 かつては「王子製紙」の工場があった「サンスクウェア」を見下ろしながら陸橋を渡り、「フルーツオクダ」の目の前の階段を降りると、そこに「洋紙発祥の地」碑がある。

 王子製紙の歴史を記念して建てられた石碑で、複数回の移転を経てこの地に移された。碑文には「80年の歴史を記念して洋紙業発展の一里塚とする」とある。

 ちなみに、洋紙発祥の地碑の場所に面する駅前の通り(明治通り)を少し北上すると、国立印刷局王子工場がある。この工場はのちに紹介する渋沢関連施設と同様、経済産業省により「近代化産業遺産」に認定されている。併設された「お札と切手の博物館」では、新紙幣発行を記念し、7月3日より特別展示が開催されているので、興味があれば立ち寄ってみよう。

●施設名 洋紙発祥の地碑

住所 〒114-0002 東京都北区王子1丁目5−12

ホームページURL 洋紙発祥の地碑

※営業日時はホームページよりご確認ください