■草の章/岐阜県大垣市『田辺温熱保養所』

 水の都・大垣市にて、知る人ぞ知る存在としてオンリーワンの地位を築いている『田辺温熱保養所』。

 その特徴はなんといっても、「樽」による薬草蒸し風呂だ。江戸期に大垣藩医の江馬蘭斎が考案した蒸気風呂をベースに開発されたもので、薬草を煮立たせて発生した蒸気を樽の中に満たし、その蒸気熱で体を温める。温度自体は65℃近辺で低いと思われがちだが、湿度がほぼ100%なので蒸気熱でそんなに長く入っていられない。

 使用されている薬草は、薬草の宝庫と呼ばれる伊吹山麓で採取された薬草と、自家製の無農薬栽培で育てた貴重な薬草のみを使用し、十数種類を調合して煮立てている。その効能は折り紙付きで、遠方からプロのアスリートなども疲れや傷を癒しに多く訪れる。

樽蒸し風呂。立って入るスタイルで、中には大人4人ほどが入ることができる

 蒸し風呂から出ると椅子に座って風に当たって休憩し(水風呂はない)、また樽に入るを3、4回繰り返す。その後は畳の部屋に寝転がって大休憩をし、再び樽に入るを繰り返す。

 わずか2000円で5時間いられるので、本当にゆっくり過ごすことができる。受付にいるご夫婦が本当に気さくで、それもまたひとつの癒し効果あり。

 何気に僕は近所ということもあり、足繁く通っては薬草に蒸されている。

■おすすめサウナのまとめ

 東海エリアには様々な施設サウナがあるが、上記のように個性的な施設が多い。紹介した以外にも、田辺温熱保養所と同じ水の都・大垣市にある『大垣サウナ』の水風呂や、薬草とハーブにこだわりまくっている岐阜県各務原市の『恵みの湯』なんかもアツい施設だ。会員制ではあるが、静岡県裾野市の『サーマルクライムスタジオ富士』は、現状の日本のサウナ施設の中では、質もスタイル(サウナの入り方含め)もNo.1だと思っている。

 それぞれ自分の好みに合ったサウナ施設に出会えることは、本当に幸せなことだ。それを探しに行く「サ旅」も、じつに楽しい旅のスタイル。ぜひ、あなたも旅に出て、マイベストなサウナを探してみるといいだろう。

 でも、意外と一番いいサウナって、日常的に通える一番ご近所のサウナだったりするけどね。