■水の章/静岡県静岡市『サウナしきじ』

もはやお約束。いわずと知れた日本一の水風呂が楽しめるサウナ施設

 サウナにとって水風呂の水質は非常に重要だ。個人的には「硬度高め・ミネラル成分豊富・伏流水で安定した温度」を満たしているものがいい水風呂の条件だと思っている。

 しかし、天然水と謳う施設は多くても、その水質はバラバラで、ほとんどが軟水のものばかり。その点、ここの水風呂は地下でじっくりと濾された硬度84の中硬水で、地質から溶け出したミネラルの量がとにかくすごい。入ればわかるが、肌あたりが柔らかく、他の施設のような肌を刺すような嫌な感じが一切ないのだ。

 サウナ自体も、フィンランド式はもちろん、熱すぎて3分と入っていられない薬草サウナもある。水も最高なんだが、ここは薬草サウナや薬草風呂などが充実してるのもありがたい(質もいい)。デメリットとしては、人気施設なゆえに休日の混みっぷりが半端ないってことくらいだ。行くならいっそ会社なんて休んで、平日にじっくりと堪能すべし。

■木の章/岐阜県八百津町『ヤオツサウナ&スパイス』

 サウナは自然との接点を楽しむものだと思っている。サウナ小屋の木の温もりや薪ストーブの炎のゆらめき、心地よい外気の風と鳥の鳴き声。それらが相まって、真の癒しと“ととのい(調い)”が得られる。

 それらが楽しめるアウトドアサウナで、本格的なログサウナがあるもっとも有名な施設といえば長野県にある『The Sauna』だが、そのログサウナと同等の質を再現しつつ、地元の「東濃ひのき」にてログサウナを作って提供しているのが『ヤオツサウナ&スパイス』である。

8名が対面で入れるサウナ室で話も弾む。緩やかな雰囲気も時間を忘れる

 山に囲まれた施設内に東濃ひのきのログサウナがあり、周囲にはヒノキチップが敷き詰められ、常に木の香りが漂う。

 小屋の中はMOKIの大型ストーブがセンターに鎮座し、8人が対面で座れる上段のスペースからは常に炎を眺めることができる。暗さもちょうど良く、こういう状況だと仲間との話も弾んで長く入っていられる(=ととのう確率も上がる)。座る位置で熱さやロウリュした時の蒸気の巡り方が違うのも面白い。

 沢から引いた水風呂はキンキンに冷えており、山を眺めながらの外気浴もひたすら心地いい。時間も3時間あってゆっくりでき、サウナ後に店名の通り特製のスパイスカレーをいただく。オーナーのゆるい雰囲気も心地よく、“友達んちのサウナ”って感じが、また行きたくなる要素にもなっている。