■コンテナの内部だと忘れてしまう快適な室内

コンテナの中だと忘れてしまうような快適な室内空間

 室内はシンプルで清潔感があります。こちらはできて一年ほどと新しい施設のようです。一度中に入って落ち着くと、さっきまで夢中になっていた外観のことはすっかり忘れ、まるでビジネスホテルに泊まっているかのような錯覚を覚えます。水回りなどの使用にもまるで違和感がありません。入り口も独立していますし、お隣とも密着してないのでプライベート感もあります。暖かく快適だったので、ついうとうとと30分ほど寝てしまいました。

 アウトドアアクティビティには道具が欠かせません。釣り、フライフィッシングも例外ではありません。ロッド、リール、フライ、ライン。さらにウェーダーやブーツなどなど。室内の明るいスペースで大量の道具たちの手入れをできるのはありがたいです。

 さて、夕食を摂るために車に乗って外出してみました。関越道・本庄児玉ICからも近い一帯は、地方の街外れ。田園の中にぽつりぽつりと住宅が建ち、広い駐車場を備えたスーパーやドラッグストア、ファミレスやファーストフードなどの郊外型店舗が次々と現れます。車さえあれば便利そうな立地でした。長野県の地方都市に住む筆者にとっては親近感の湧く風景です。観光地でもなく仕事上の繋がりもない場所、縁もゆかりもない土地の様子を見られるのも釣りのおかげでしょうか。

■アウトドア旅のベースにうってつけ!

利根川では群馬県庁のビルを遠望しながら、のびのびとした釣りの時間を楽しめました

 翌朝、宿泊にセットされていた軽食とコーヒーで簡素だけど十分な朝食を済ませ、一路前橋を目指しました。こちらは何度も訪れている釣り場ですが、水量はやや多めで水温も低め。さらに風が強いせいでしょうか、一通りポイントをチェックして回っても釣り人をほとんど見かけません。停車した車が時おり揺れるほどで、風に影響されやすいフライフィッシングだけに釣りをするか悩まされます。しかし、釣り人が少ないのは、それだけでチャンスでもあります。新しく巻いてきたフライを試したいのもあり、風裏になるポイントに入りました。しかしながらアタリすらない時間が過ぎていき、あっという間に日が傾いて終了となりました。ひと月ほど前に訪れたときにはかなりいい釣りができたのですが、この日のように思うようにいかないのも釣りの醍醐味のひとつでしょうか。

 群馬県から栃木県にかけては冬季でも渓流釣りが可能な釣り場がいくつもあります。コンテナホテルをベースにして回るのも良さそうです。このまま釣り旅を続けたい誘惑に駆られましたが、外せない用事もあり帰路につきました。

 あらためて調べてみると千葉や愛知など、海釣りにも最適な場所でもコンテナホテルがあることがわかりました。釣り以外にもいろんなアウトドアアクティビティとも親和性が高そうです。ホテルや旅館などに泊まる以外にも移動の途中に車中で仮眠をしたり、キャンプ場やRVパークを利用することもありますが、新たな選択肢が増えました。料金は場所や日程によって変動するようですが、比較的リーズナブルなのではないでしょうか。

下を覗くとこんな感じ。ナンバーも付いているので、いつでも牽引可能ですね

 コンテナホテルの客室は、コンテナを利用しているだけあって本当に移動可能だということです。災害時など有事の際には現場に駆けつけ、避難所等になるレスキューホテルとしての活用を視野に入れているそうです。釣り用語でも昨今よく耳にする“バーサタイル”を体現している宿泊施設ですね。