寒さが厳しくなってきて、山に雪が積もり白銀に彩られ始めた。本格的な雪山登山は装備や体力、経験や知識が必要であり、それなりにハードルが高い。しかしながら、この時期でしか見られない白銀の景色や、雪上でのハイキングに興味がある登山者は多いのではないだろうか。筆者も本格的な雪山登山はレベル不足で挑戦できないものの、ちょっとしたスノートレッキングを楽しみたい。危険箇所が少なく本格的な装備や知識をあまり必要としない、「雪山入門」に適した山でトレッキングを楽しんでいる。
そんな「雪山入門」に適しているのが、長野県富士見町と伊那市にまたがる入笠山(にゅうかさやま)だ。標高が1,955mと、2,000m近い高度があるものの、1,780m地点までゴンドラで一気に上がれ、往復3時間程度で山頂を目指せる。コースタイムが短く、それほど雪も深くない。また危険な箇所が少ないので、初心者にも挑戦しやすいのが入門向けたる所以だ。入笠山ではゴンドラ乗り場でウェアやスノーシューもレンタルでき、山頂からは八ヶ岳連峰や日本アルプスを見渡せ、白銀に彩られた360度のパノラマ絶景を楽しめる。
今回はそんな入笠山で楽しめるスノートレッキングの魅力やルートを紹介しよう。
■ゴンドラに乗ってスノートレッキングへ
入笠山スノートレッキングは、中央自動車道諏訪南ICから約7分の場所にある「富士見パノラマリゾート」からスタートする。ここはアクセスが良い上に駐車場も1,500台無料で停められるのでありがたい。
ここはスキー場なのでトイレなども併設されているので、しっかり登山の準備を整えてからスタートしよう。また、必要があればスノーシューなどのレンタル手続きをしてからゴンドラ往復チケットを購入しよう。ここから標高1,780m地点まで駆け上がり、往復約3時間のスノートレッキングへ。帰りのゴンドラの最終時刻をチェックし、余裕を持ったスケジュールで進もう。
約10分、ゴンドラに揺られて山頂駅に降り立つと、そこはもう一面雪景色。ここでスノーシューなどを装着しよう。筆者は持参した軽アイゼンを履き、軽く準備運動をしてスノートレッキングへ向かった。雪山入門に最適な場所なだけあって、スキー客だけでなくトレッキング客も多い。
挨拶を交わしながら20分ほど歩くと、入笠湿原に辿り着く。山頂はまだまだ先なので、もふもふの雪や白銀の世界を楽しみながらのんびり歩いて湿原を通り過ぎよう。
湿原を抜けると山荘があり、その隣に公共トイレが併設されているので、必要があれば使わせてもらおう。ここからは林道を登って山頂を目指す。林道に入ると樹霜(じゅそう ※)が見えてきて、雪山の様相が濃くなってくる。雪山の景色を楽しみながら、サクサクと雪を踏みしめて足を進めよう。
※大気中の水蒸気が昇華して樹枝につき氷の結晶となったもの
軽アイゼンやスノーシューを履いていれば滑らずに歩を進めることができるので、アップダウンのある場所も焦らず歩こう。山頂までは入笠湿原から1時間程度。最後は岩場の急登コースがあるが、迂回コースでも同じコースタイムで山頂に辿り着けるので、体力にあったコースを進もう。
最後の急登を登り切ると景色が開け、山頂が見えてくる。山頂は360度遮るものがなく、パノラマ絶景が楽しめる。反面、風で雪がとばされているので、道中に比べて雪は少なめだ。ここからは八ヶ岳やアルプスの山々を見ることができる。残念ながら筆者が訪れた時は、山頂到着時に雲が出てきた。天気予報をチェックして、晴れの日を狙ってスノートレッキングを楽しみ、ぜひパノラマ絶景を堪能してほしい。