朝早く起きて、朝焼けやご来光を見ると心が洗われ、スッキリとする。しかも平地よりも山の上で見たほうが、周りの自然美が加わって感動を味わえる。ここでは筆者が登ったことのある東北の山から厳選した、美しい朝焼けとご来光スポットを4つご紹介する。朝焼けやご来光スポットは山小屋の側で見られるので、小屋泊まりにすることで手軽にサンライズタイムを楽しめるだろう。

■鳥海山 ご来光と影鳥海

鳥海山・御室小屋から眺める影鳥海(画像提供:鳥海山大物忌神社)

 鳥海山(ちょうかいさん)は、秋田県と山形県にまたがる山である。山頂付近から日本海が望め、夏に多くの高山植物が咲く見どころ満載の山だ。そんな鳥海山のおすすめご来光スポットを2つご紹介する。

 1つ目は「御浜小屋(おはまごや)」だ。鉾立口(ほこだてぐち)から約2時間歩いた7合目。鳥海湖があるあたりに御浜小屋はある。鳥海山の中腹から太陽が昇り、山並みを静かに照らしていく。さらに日が昇ると海に光が差し込み、水面がキラキラと輝きだす。山と海、両方の美しさを堪能できるのだ。

 2つ目のご来光スポットは、鳥海山の山頂直下にある山小屋「御室小屋(おむろごや)」だ。ここでは鳥海山の山体が太陽の光を受け、海に鳥海山の影が映る「影鳥海(かげちょうかい)」と呼ばれる自然現象を見ることができる。空気が澄んでいる、雲の影響がない、といったいくつかの条件が揃った時しか見られないため、見られた人はとてもラッキーだ。その神秘的な光景に感動すること間違いなし。

▼鳥海山の情報
鳥海山登山ルートガイド chokaizan.com

▼御浜小屋・御室小屋の詳細
山小屋宿泊|鳥海山大物忌神社 http://www9.plala.or.jp/thoukai/lodge.html

■朝日連峰 雲海とご来光が織りなす絶景

朝日連峰・竜門山避難小屋から眺めるご来光と雲海

 朝日(あさひ)連峰は、山形県と新潟県に連なる山々だ。朝日連峰は南北約60㎞、東西約30㎞にわたって連なっており、景観のよい縦走路を歩けるのが魅力。

 朝日連峰のおすすめご来光スポットは、「竜門山(りゅうもんやま)避難小屋」だ。竜門山避難小屋は、竜門山から約25分下った先にある山小屋で、朝日連峰の主峰である大朝日岳(おおあさひだけ)へ登る拠点として筆者は利用した。

 早朝、小屋の外に出ると雲海が広がっており、その雲海の上から月山の山体を覗かせている。やがて雲海のなかから太陽が昇り、周りを明るく照らす。山に囲まれた景観や雲海、そしてご来光によって明るく照らされる光景は美しく、まるで時間が止まっているかのような感覚になった。

▼竜門山避難小屋の詳細
 朝日鉱泉/登山情報/各避難小屋情報 https://www.asahikosen.com

■会津駒ヶ岳 朝もやとご来光

会津駒ヶ岳・駒の小屋から眺めるご来光(撮影:川村 亨)

 会津駒ヶ岳(あいづこまがたけ)は、福島県南会津郡にある山だ。会津駒ヶ岳から中門岳(ちゅうもんだけ)へ続く道はなだらかで、気持ちのよい稜線散歩が楽しめる。

 会津駒ヶ岳の山頂直下には「駒の小屋」と呼ばれる山小屋があり、そこから眺めるご来光がおすすめ。筆者が訪れたのは7月下旬だったが、早朝は寒く、周りには朝もやがかかっていた。ご来光の瞬間、空が朱に染まり、朝もやが光を淡く反射する景観が幻想的だった。

▼尾瀬国立公園 会津駒ケ岳 駒の小屋 http://komanokoya.com

■燧ヶ岳(尾瀬)の朝焼け 

尾瀬・見晴から眺める燧ヶ岳の朝焼け(画像提供:尾瀬小屋)

 尾瀬は本州最大の湿原で、さらに燧ヶ岳(ひうちがたけ)や至仏山(しぶつさん)などの山々に囲まれているため、多くのハイカーや登山者が訪れる人気の場所だ。

 尾瀬のなかでも、とくにおすすめなのが「見晴」というスポットだ。見晴は尾瀬ヶ原の東端にあり、湿原と燧ヶ岳の素晴らしい景観が楽しめる。朝焼けの瞬間、空に朱色が広がり、それが燧ヶ岳の近くにかかると山の雄大さが一層引き立つ。見晴には山小屋がいくつかあるので、自然の美しさを満喫しながらゆっくりと過ごせるだろう。

▼尾瀬の山小屋情報
尾瀬檜枝岐温泉観光協会  http://www.oze-info.jp/yamagoya

■東北の山の上で最高の朝を迎えよう

 山の上から見る美しい朝焼けとご来光スポットを4つ、東北の山に焦点を当ててご紹介した。山の上から望む朝の景色は、平地よりも自然の美しさをより一層堪能できる。どのスポットも山小屋の近くにあるので、山に宿泊してゆっくりと過ごすのがおすすめだ。ご来光のほかにも夕焼けや星空鑑賞など、山小屋泊ならではの楽しみを満喫するとよいだろう。