山に登っていると起きる想定外の事態。登山中に対処できるものから、中止に追い込まれるものまで様々だ。山に登り続けている筆者も例に漏れず、自業自得のトラブルを起こしてはアクシデントに見舞われ、苦い経験をしてきた一人だ。

 今回は筆者が実際に経験した事態の中から5つを紹介するので、その体験談をこれからの登山に活かしてもらえたらと思う。

■登山で起きた緊急事態「5つの実体験」

●自業自得の事態1  登山計画書の未提出

バス停横にある登山届の回収箱 ※写真左(撮影:北村一樹)

 登山計画書の作成は登山者にとって重要な準備の一つである。作成するだけでなく、作成した計画書を提出しないと、遭難時の捜索に影響を与える。山域によっては登山計画書の提出が義務化されているところもある。

 登山を始めた頃は、登山計画書をよく出し忘れていた。当時はまだ、事前の提出やオンライン提出という安心で便利な方法があることも知らなかった。

 最近は登山計画書を当日に用紙で提出するより、オンラインで提出するサービスを利用している。この方が事前に提出できるし、とにかく便利だ。仲間と登る際はスマートフォンがあれば、計画書の共有を楽に行えることもポイントだ。

●自業自得の事態2  電子機器の未充電

スマホやカメラなど充電が必要な道具は多い(撮影:北村一樹)

 スマートフォンの普及、バッテリータイプのヘッドライト、スマートウォッチなど、登山中に電子機器を使用する機会が増えたことから、モバイルバッテリーを携帯する登山者は増え、各機器の充電が登山前の準備に欠かせないものとなった。

 筆者はモバイルバッテリーを充電したはずがほとんど充電されていなかったり、ヘッドライトの充電を忘れたことがある。気が付くのはいつも夜のテント内。スマートフォンで電子書籍を読んだり、音楽を聴いたりして、モバイルバッテリーの充電がないことを悔いてしまうことも恥ずかしながらよくある。

 登山当日に未充電が発覚した時は、コンビニでモバイルバッテリーや電池を購入できる。登山中に発覚すると対処は困難だが、山小屋によっては充電させてくれることもあるし、ソーラーチャージャーがあれば万が一の事態にも対処できることもある。

●自業自得の事態3  登山口に続く林道の閉鎖

林道が通れないと登山が成立しないことも(撮影:北村一樹)

 登山口は様々な場所にある。住宅街から突然現れたり、渓谷の奥深くに位置していたり。登山者にとって現地で起きるアクシデントとして慌てさせられるのが、登山口へと続く林道が閉鎖されているという事態だ。

 しかし、長期間閉鎖されていれば登山前に確認する方法がある。ウェブ上で登山記録が最新でないことで気がついたり、林道を管轄する機関のホームページで確認できる。

 問題は前日が悪天候で、現地に行ったら閉鎖されていたという状況だ。筆者はこうした事態に見舞われたことが何度かあり、危うく登山中止に追い込まれそうになった。現地で発覚した場合、閉鎖された林道の手前からアプローチするか、登山ルートを変更することで対処する。