イタリア人の連れ合いと共に、いざ北海道へ!

旭岳登山の入り口、旭岳ロープウェイ駅。7月中旬、生憎のお天気にもかかわらず、早朝から中国、韓国、アメリカやカナダなど、世界各国からやってきた登山客で行列が出来ていた

 イタリア人の連れ合いと共に、長いバカンスを日本で過ごしたこの夏。兼ねてから「北海道へ行きたい、日本の山に登りたい」と言っていた相棒の願いを聞き入れ、北海道の旭岳を訪れることにした。イタリアでは4大アルプスを歩き回っている我々だが、日本の山は初心者である。まずは入念に下調べをし、使い慣れた登山用具一式をスーツケースに詰めて北の大地を目指した。

 旭岳の麓、旭岳温泉の宿に荷物を置いて、真っ先にビジターセンターへ向かった。センターへ着くなり、イタリア人の相棒は「鈴、鈴」と言いながら熊避けのベルを探し始めた。イタリアの登山道で見かける野生動物といえば、シュタインボックや鹿、マーモットなどがほとんどで、狼などの危険な動物は通常人前には姿を現さない。熊に関しては、さらに遭遇頻度が低いだろう。

 だが、日本の山で熊に襲われる人が相次いでいるという情報をどこかで得ていた相棒は、「山で熊とばったり遭遇する事態だけは避けたい」と、予防策を調べていたらしい。ビジターセンターで地図と登山道周辺の最新情報、お天気情報などのアドバイスをいただいた後、ロープウェイ駅の売店で目当ての熊避けベルを買った相棒は、「これでやっと準備OKだ」と安堵していた。

熊避けベルは日本の登山の必需品、という知識を得たイタリア人の相棒。歩くたびにチリンチリンと響くベルの音が珍しいらしく、些細な違いからも「日本の山を歩いている」という実感が湧き上がってきたようだ。

■山を愛する気持ちは世界共通!  登山客のほとんどが外国人!

 張り切って準備を整えたもののお天気は非常に不安定で、ビジターセンターでも「ロープウェイで登ってみないと登山道の状態はわからない」と言われた。ただし、山頂まで行けなかったとしても、姿見の池周辺には散策コースもあるというので一か八か登ってみることにした。

 翌日の早朝、ロープウェイ駅に着いて驚いたのは、登山客のほとんどが外国人だったことだ。北海道の山の麓で、平日の早朝からこんなにも国際色豊かな光景を目にするとは思ってもみなかった。京都や東京で、オーバーツーリズムによる混乱が起きている、というニュースは耳にしていたが、まさか北海道の山奥にまでその波が押し寄せていたとは、正直予想していなかった。

 とはいえ、有名な観光地ではなく日本の地方の自然を愛でようとここまで足を運んで来る人が世界中にいることは、なんだか嬉しいことでもある。ロープウェイを待つ間、売店で熊避けのベルを買う中国人ファミリーや、ベンチに座って菓子パンにかぶりつくアメリカ人カップルなど、年代も国もさまざまな登山客の姿を眺めながら思わず笑みが浮かんできた。山を愛する気持ちは世界共通だと実感する。

標高1,600mにある旭岳ロープウェイの姿見駅。この日の気温は14.5℃。空模様は今ひとつだが、この地点の散策コースでは旭岳ならではの高山植物がたくさん見られる
あいにくの曇り空で山頂は拝めず。湖の散策コースを歩いているうちにお天気が回復してくれることを祈りつつ、高山植物散策を楽しむことにした