1年間で300万人の登山者を集める、東京都内屈指の人気登山スポット「高尾山」。一方、2023年4月から「ただの山、じゃない。御岳山」プロジェクトを開始した奥多摩にそびえるのが「御岳山」。どちらの山も、低山や自然公園、山岳信仰、ケーブルカー・リフトと共通点が多い。「週末に高尾山と御岳山のどっちに登ろうか」と悩む登山者・観光客も多いだろう。

 そこで本記事では、「癒し登山」の視点から、高尾山と御岳山の登山コース・滝・ランチスポットを比較していく。

■登山道対決!「マイナスイオン」【初めから】vs【後からゆっくり】

小川のせせらぎを聴きながら歩ける高尾山6号路(撮影:瀧澤伸夫)

 「高尾山6号路」は、最初からマイナスイオンを感じられるコース。高尾山の麓にあるケーブルカー清滝駅の横の舗装道路からスタートし、10分ほど歩くとすぐに小川沿いのマイナスイオンが感じられるコースとなる。

 小川のせせらぎを聴きながら登る登山道は「癒し」そのもの。登山道の途中には「岩屋大師」や「粘板岩」など、見どころ満載だ。

高尾山6号路には、そばを流れる小川に降りられる箇所がある(撮影:瀧澤伸夫)

 また、登山道の所々には小川に降りられる場所が数か所あり、小川のマイナスイオンを味わいたい人におすすめだ。水面近くでの写真撮影も可能だ。

武蔵御嶽神社の階段の脇から御岳山ロックガーデンへ向かう(撮影:瀧澤伸夫)

 一方、御岳山のロックガーデンは、途中からマイナスイオンを感じられるコースとなっている。山頂付近のケーブルカー御岳山駅をスタートすると、宿坊街の道や、武蔵御嶽(むさしみたけ)神社の境内の階段、整備された幅の広い登山道が続く。

 序盤はマイナスイオンとは無縁だが、武蔵御嶽神社・天狗の腰掛け杉・天狗岩と見どころは豊富。

御岳山ロックガーデンは小川を何度もジグザグに渡りながら進む(撮影:瀧澤伸夫)

 しかし、天狗岩を過ぎると景色は一変。奇岩と苔が織りなす神秘の世界の始まりだ。綾広の滝まで続く約1.5km。ロックガーデンを流れる小川の飛び石を何度も渡りながら、ジグザグに奥へ奥へと進んで行く。

■滝対決!  立入禁止の【琵琶滝】vs 目の前まで行ける【七代の滝・綾広の滝】

高尾山薬王院有喜寺の水行道場である琵琶滝(撮影:瀧澤伸夫)

 高尾山6号路にある滝が「琵琶滝(びわたき)」。お堂があり、凛とした空気が流れ、修行の場であることが感じられる。琵琶滝は今も高尾山薬王院有喜寺の水行道場として使われており、お堂までは立ち入れるが、紙垂(しで)がかかっている滝行の場所は立入禁止。

高尾山6号路から真下にある琵琶滝が見られる(撮影:瀧澤伸夫)

 写真撮影する場合は、滝の真上を通る高尾山6号路からであれば、琵琶滝や周辺を含めた全体が撮影できる。 

御岳山ロックガーデンにある七代の滝(撮影:瀧澤伸夫)

 一方、御岳山のロックガーデンの滝は、七代の滝(ななよのたき)と綾広の滝の2つ。七代の滝の滝壺はお椀のような形をしており、ハイキングで疲れた足をつけて冷やす人も多い。ただし、七代の滝へ行くためには、天狗岩の脇の鉄階段や急坂を下らなければならない。直接向かう登山道もあるが、急坂なので登山のビギナーは避けたほうがよいだろう。

御岳山ロックガーデンにある綾広の滝(撮影:瀧澤伸夫)

 もう一つの綾広の滝はロックガーデンの最奥部にあり、今回紹介した3つの滝の中で、もっとも落差がある。巨大な岩の割れ目から流れ落ちる水は圧巻だ。七代の滝も綾広の滝もそばまで行けるが、現在でも滝行が行われている場所でもある。