こんにちは。フォトグラファーの見城です。ときには、アウトドア雑誌やウェブ媒体で原稿を書くこともあります。

 この度、ご縁があって『BUSHCRAFTERS(山と溪谷社刊)』という書籍を出版しました。これを機に、キャンプブームの裏側で世界的に静かな盛り上がりが続いている「ブッシュクラフト」とはどのようなものなのか?  を、書籍に登場していただいた方々を絡めながら、紹介していけたらと思っています。

必要なものほぼ全てを背負って、ウィルダネスの中へ

■そもそも「ブッシュクラフト」とは?

 そもそも「ブッシュクラフトって、どんなものなの?」と思う方がほとんどだと思いますので、まずはその説明から始めます。

直火の焚き火で調理も行う。焚き火の跡を残さず、きれいに撤収する技術があれば、このように直火ができるキャンプ場も増えてきている

 ブッシュクラフトは、シンプルな道具を用いて、自然の中にあるものも素材として利用するキャンプスタイルのこと。野外での生活に必要なスキルや知識を学ぶ、とても自然に近いアクティビティ(遊び)です。

小枝とガイライン(細くて丈夫な化繊の紐)があれば、いろいろな物が作れる

 メインとなる道具は、ザックにナイフや斧、それにロープなど、100年前から今も変わらないものがほとんど。基本になるテクニックも、昔から世界中のどこかで使われ、受け継がれてきたものや、それを発展させたものばかりです。

枝で作ったトライポッドとポットクレーン。北軽井沢で Japan Bushcraft school を主催している、川口拓さんの手によるもの

 ワイルドなイメージから、サバイバルと混同してしまうかも知れませんが、その場その時を生き残るためのサバイバルとは異なり、ブッシュクラフトは無理をしてまでやるものではありません。創造性に溢れ、好奇心や探究心をも満たす、自分のペースで楽しむ外遊びなのです。

素材も道具も、メインになるのは昔から変わらずにあるものばかり。お気に入りの道具を見つけるのも楽しい

 そういう意味では、ボーイスカウトやガールスカウトにちょっと近いかもしれません。究極にしてもっともシンプルな野外DIY生活ともいえます。

 森や山々、草原の中に身を置き、その場にある限られた資源を上手に活用して生き抜く。自然が好きな人にとってはたまらない魅力に溢れた文化的な体験なのです。今回は、そんなブッシュクラフトが持つ魅力をお伝えできたらと思います。

焚き火の煙で作るベーコンの発案者、長野修平さん。テントも自作したものだ。多くのイベントに講師として参加されているので気になる方は要チェック