山梨県北杜市に位置する日向山は、登山ビギナーやファミリーでも挑戦しやすいやさしい山として親しまれている。だが、この山の魅力は登りやすさだけではない。山頂部の「雁ヶ原(がんがわら)」と呼ばれる場所に出ると、白浜のような圧巻の風景が広がっているのだ。花崗岩が風化して崩れたことでできあがったこの場所は、まるで山の上に真っ白なビーチが広がるような光景。そんな、神秘の景色を目指し、日帰り登山に出かけてきた。

■尾白川渓谷駐車場から入山

駐車場からマップと標識を確認しながら登山道を進む

 日向山の標高は1,660m。南アルプスの北部に位置し、甲斐駒ヶ岳と同じく、花崗岩による山だ。入山の起点として矢立石登山口の駐車場があるが、この場所に行くまでの林道は幅が狭く駐車スペースも少ないため、尾白川渓谷駐車場からスタートする。歩く距離も時間も長くなるが、尾白川渓谷駐車場のほうが駐車するスペースが広く、トイレもあるので何かと便利なのだ。駐車場からしばらく林道を進むと、矢立石登山口に向かう標識があり、ここから登りはじめる。

■人里の暮らしが感じられる森の道

登山道からの展望はないが、木陰を歩けることはメリットだろう

 登山道のほとんどが森を抜けるルート。日差しが強い時期でも、これなら木陰の中を歩けるので心地よい。山頂まで景色に大きな変化はないが、ところどころに炭焼きで使われていたという石室のような窯の跡を見かけた。馬頭観音の石碑もあったので、もしかしたら馬が通っていたのだろうか。もしくは、旅人を守護するためのものだろうか。景色に大きな変化はないが、人里の空気が感じられる道だ。

■山頂手前の三角点にも立ち寄り

三角点は目立たない場所にあるので見逃さないように

 勾配のある登りや平坦な場所や、整備された尾根の道を抜けていくと、後半は周囲に笹原が広がる風景に。ここまでくると山頂が近い。山頂に出る手前に分岐があり、ここを右に入ると山頂三角点があるポイント。展望はないものの、標石のほかに「日向山」の標識もあるので記念撮影をパチリと残す。登山道に戻ってさらに登ると、地面が白っぽい砂に変わってくる。いよいよ待望のビーチとのご対面だ。