ロケーション撮影では何度となく訪れている宮古島だが、「島猫」を意識して巡るのは初めてのこと。「島のどこに猫がいる?」と宮古の友人たちに聞いてみたところ、「どこにでもいるから気にしたことがない」という正しい答えが多かった。

 そんな中でも、「猫といえばここかな」と数名が教えてくれたのが漲水御嶽(はりみずうたき)だ。宮古島最高の聖地と言われる漲水御嶽には、撮影前のご挨拶で何度も訪れているのだが、正直なところ、そんな自分たちも「そういえば猫がいたような……?」という認識だった。

元気いっぱいの子猫たち。ガジュマルに見守られながら遊んでいた
子どもたちが遊び始めると、母さん猫は平御香漂う拝所でお昼寝

 宮古島の創世神話の残る漲水御嶽は、地元の人たちの信仰も厚く、その日もたくさんの人たちが拝みをしていた。正面の拝所で撮影のご挨拶をして、大きなガジュマルの木に守られた拝所を回ると、真っ白な母猫が子猫たちにお乳を飲ませている最中だった。

 神様も猫も驚かさないようにそっと近づき、静かに撮影させてもらう。やがてお腹がいっぱいになると、子猫たちはガジュマルの枯れ葉やセミの抜け殻で遊びはじめた。沖縄本島の市街地ではもうあまり見ることができなくなってしまった、穏やかな子育ての風景に心が和んだ。

集落の石敢當(いしがんとう)の前に座り、じっとこちらを見ていた猫
ニャンですか? お昼寝中のところ起こしてスミニャセン!