焚き火を職業にしている「焚き火マイスター」の私だが、これまでに数えきれないほどの洋服に焚き火の火の粉で穴を開けている。細心の注意を払っているにも関わらず、火の粉はどこからともなく飛んでくる。だいたい気がつくのはキャンプ翌日で、地味にショックを受けることになる。

 あるとき、仲間と焚き火を楽しんだ翌朝にテントから外に出てみると、焚き火台の周りに羽毛が散乱していたことがあった。初めは鳥が動物に襲われでもしたのかと思ったが、一回り小さくなったダウンを着て起きてきた友人を見て謎が解けた。

 焚き火に火の粉は付き物だが、できることなら無傷で楽しみたい。いまだに明確な答えは出ていないが、焚き火に合った防寒着について、タイプごとの一長一短をご紹介するので、ご参考にしてもらえると嬉しい。

■防寒の大本命は「ダウンジャケット」

空気の層が熱を溜める

 ダウンは防寒着としては最高の選択肢だが、焚き火の前で着るにはちょっと問題がある。身体から放出された熱をダウンが入っている層で留めて温かさを保つ仕組みのウエアなので、椅子に座ってしまうと背中側のダウンが潰れてしまい、温かさが半減してしまうのだ。ダウンならではの温かさを保ちたいなら、スツールタイプの椅子に座るのがベスト。ただ、この手の形状の椅子は、長時間の焚き火ではリラックスできないのが難点である。

 また、火の粉が飛んで表面素材に穴が開く心配があるのもマイナスポイント。アウトドアメーカーから難燃素材を使ったダウンウェアが発売されているので、以前より焚き火の前でダウンを着やすくはなった。しかし、難燃といってもあくまでも燃えにくいだけなので、変わらず火の粉に注意は必要だ。