最近のサウナブームでよく耳にするけど、結局“ととのう”って何なのさ?

 「それって美味しいの?」とか、「どうせ今だけのブームでしょ? 俺は流行には左右されないぜ!」なんて日和見決め込んじゃっている人たちがいる。それ、すっっごく損しているので、まずは“ととのい”とはどんな状態なのかと、気持ちの良いサウナの入り方についてのお話に耳を傾けてみてほしい。

 きっと新たな世界への扉が開かれるはずである。

■“ととのう”って言葉はいつ誕生したの?

 そもそも“ととのう”なんて言葉は、15年ほど前までサウナ界には存在していなかった。サウナ内では汗だくのおっさんたちが眉間に皺を寄せ、その後クレイジーなほど冷たい水風呂にザブンと身を沈め、そしてベンチに横になって魂の抜けた顔をし、それでいて「気持ちいい」とか何も言わないもんだから、「ああ、この人たちは修行をしているんだな」と思ったものだ。しかし、サウナにハマってしまった今ならわかる。あれは「気持ちいい」などという単純なワードでは表現しきれない恍惚の中にいたからだと。

 そんな中、10数年前に全国のサウナ情報を発信するブロガーだった濡れ頭巾ちゃんが、「サウナ特有の快楽を表現する言葉がないかな〜。“ととのう”ってのはどうだろう?」と思い立ち、SNSなどで『どこそこのサウナでととのった〜』などと発信をし始めたのだ。それを見たサウナ仲間であり漫画家のタナカカツキさんが、漫画『サ道』でその表現を使用し、2019年のドラマ化とともに一気に全国に知れ渡ったのである。

■“ととのう”ってどんな状態?

 “ととのい”には明確な定義は存在しない。医学的にはこうだろうってのはあるが、まずは小難しいことなんて考える必要なんてないのだ。

 “ととのい”の意味がわからないとサウナに行くのが恥ずかしい、なんて人もたまにいるが(ブームの弊害でもある)、その感覚はほんとに人それぞれ。あなたが「ああ! なにこれ! なにこの感覚……あ……ああ……あ……」と言葉にならない快感に襲われたら、それが“ととのい”だと思っておけば十分。

 ブルース・リー的に言わせてもらうと、「Don’t think!feeeeel!(考えるな。感じろ)」なのである。

言われなくても、なんも考えられない。全身で快楽を感じればいい