ひと昔前に比べ、スキー場内で大手を振ってツリーランが滑れる場所が増えてきた。道具の進化や多様化した志向性などが、その小さな流れを生み出し、そこへ海外からのツリーランのパウダーを求める滑り手のニーズが合致した結果だ。全国を網羅するにあたって、恒常的にパウダーが滑れる地域のツリーランコースが多くなっているのは顕著。いまは、その流れが徐々に本州の様々なエリアに波及しつつあるのは、選択肢も増え嬉しい結果だ。

 その上で、森の木々の間を滑る際は、各スキー場が定める様々なルールを満たして楽しんで欲しい。コースを自由に滑れるケースもあれば、誓約書が必要な場合もある。また、いつ行ってもパウダーの条件で木々の間を滑れるわけではない。風や日射の影響が少ないぶん、その機会は増えるが、なによりもいつ行っても滑走条件が違うことが、面白さの一つでもある。

 ともかく、安全に気をつけながら、自然のままの地形に溢れるツリーランを楽しもう。

■東北エリア

 積極的にツリーランエリアを開放する豪雪地「夏油高原(げとこうげん)」が有名。地理的条件から人が少ないこともあって、長時間に渡って楽しめる場所が多い。

●夏油高原 [岩手県] https://www.getokogen.com/winter/

[​ツリーランポイント ]: ハート、ガーデン、サミット、ラビット、ビーチ、アルタ、ストリーム、エクストリーム、シューター(1日券/5400円)

 日本海からの風の影響を最小限に抑え、雪を呼び込む立地条件。山頂部は標高1,000m。ツリーランエリアは、自己責任で滑る区域ながらコース開放前にはパトロールが毎日巡回している。コース内はヘルメットの着用が義務づけられている。13のコースはそれぞれに難易度を設定しており、滑り手のレベルにあわせて、どのコースが適しているか一目瞭然になっている。

 豪雪地帯とあって、積雪量は想像以上だ。風の影響の少ない木々の間はフレシュパウダーが味わえる。ゴンドラ山頂駅には各コースの案内とともに、その日の状況がホワイトボードに示されている。