肌寒くなり、温泉が恋しい季節。温泉で疲れを癒して、紅葉と美味しいグルメを味わいたい、という人も多いのではないだろうか。とはいえ、温泉地の選択肢は多く、どこに行こうか迷ってしまう。

 今回は、石川県の加賀温泉を紹介する。この時季の加賀には、温泉だけでなく、混雑せずに楽しめる美しい紅葉、11月から漁が解禁された蟹など、最高なポイントが目白押しだ。ぜひとも一度は、この時期の加賀を楽しみつくしてほしい。「加賀百万石」と言われる加賀の魅力を紹介しよう。

■まずは拠点選び! おすすめは温泉宿!

加賀温泉の柴山潟を望む露天風呂付き客室(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 加賀は「温泉」「グルメ」「景色」の3つの魅力が揃った贅沢な地域。心身のリフレッシュには最適だ。だからこそ、その良さを楽しみつくすための拠点が重要だ。加賀温泉は趣も泉質も違う4つの温泉地に分かれており、自分の好みに応じて選ぶことができる。

●山代温泉
特徴:北陸最古1300年の歴史を誇り、昔ながらの街並みにおしゃれな店が軒を連ねる
泉質:自律神経が整い手足の冷え性改善などに効能があるとされるナトリウム・カルシウム硫酸塩・塩化物泉や アルカリ性単純温泉、カルシウム・ナトリウム一硫酸塩泉

●山中温泉
特徴:色鮮やかさが人気の陶芸品”九谷焼”発祥の地
泉質:神経痛や病後の回復に効能があるとされるカルシウム・ナトリウム硫酸塩泉

●片山津温泉
特徴:解放感あふれる柴山潟の湖面を楽しめる
泉質:皮膚病・切り傷・やけどなどに効能があるとされるナトリウム・カルシウム塩化物泉

●粟津温泉
特徴:温泉宿は数軒の隠れ家的温泉地。すべての宿が自家掘りで泉質が高いと言われている。後述する那谷寺がある
泉質:慢性的なリウマチや婦人科疾患に効能があるとされるナトリウム硫酸塩泉塩化物泉

 加賀へ行くのならば、ぜひ、温泉付きの宿を選んでほしい。加賀ならば、およそどの宿にも温泉はあるが、さらにワンランク上の選び方を紹介しよう。それは「露天風呂付き客室」を選ぶことだ。

 14時や15時など早めにチェックインして、自分の部屋でひと風呂。移動の疲れを癒そう。そのまま夜まで宿でのんびりするも良し、出かけるも良し。価格は宿によってさまざまだが、この時だけは奮発する価値はある。もちろん露天風呂付き客室でなくても、露天付きの大浴場がある宿がほとんどで、温泉は十分に楽しめる。

■秋冬は蟹が美味しい季節!

11月に漁が解禁! 新鮮な蟹が市場に並ぶ(撮影:ブラボーマウンテン編集部)

 加賀温泉が他の温泉地と際立って違うところは、大規模漁港の近さだ。つまり、新鮮で美味しい魚介を温泉と同時に楽しめる希少な温泉地なのだ。橋立漁港との距離は、車でたったの10分という近さ。そして、橋立漁港で水揚げされるズワイガニは絶品と言われており「加能ガニ」というブランドで全国に流通する。

 地元の市場には蟹がところ狭しと並んでおり、見た目だけで圧巻。甲羅はごつごつと膨らんでいて中身のつまり具合を想像させる。ツメが長く手足が長く見た目のよいものばかりが並んでいた。さすがは蟹ブランドの地。

 加賀の海は、寒流と暖流が交わる豊かなところで、砂地のために泥が甲羅の中に溜まりづらいのだ。資源保護のために漁期が限られており、漁ができるのは秋冬の2ヵ月程度。11月に漁が解禁されると、加能ガニ目当ての旅行客が集まる。この時季になると、大抵どこの宿も蟹料理の特別メニューを用意している。

 宿によって価格帯は違うが、1人前で1杯6000円から9000円程度だ。殻の中には身があふれるくらい詰まっており、しかもほんのりと甘さを感じる。何も付けずに食べるだけで美味しい。これぞまさに、加賀の海の味。何よりも蟹味噌が絶品だ。新鮮なだけあって臭みが全くなく、まるでゼリーのようにスプーンですくってどんどん食べられる。とても贅沢な体験だ。