天空の城として名高い兵庫県朝来市の竹田城跡。そこから南東へ直線距離にして30km弱のところにあるのが、兵庫県丹波市にあるもう1つの天空の城、国史跡「黒井城跡」だ。今回は竹田城跡と比べると、ほとんど知られていない穴場スポットともいえる黒井城跡の魅力をお伝えする。

■国史跡「黒井城跡」のおすすめポイント

黒井城は別名「保月城」とも言う(撮影:野口宣存)
黒井城跡二の丸からの眺望(撮影:野口宣存)
黒井城跡遺跡保護のための仮設階段からの眺望(撮影:野口宣存)
黒井城跡本丸から二の丸方面を見下ろすと浮遊感を感じる(撮影:野口宣存)
黒井城跡本丸跡(撮影:野口宣存)
黒井城跡登山道の途中にある石踏の段跡(撮影:野口宣存)

 この黒井城跡は、竹田城跡と同じく、空に浮かんでいるような浮遊感を感じる眺望を持つ。また秋から冬の早朝、雲海に浮かぶ城跡を撮影できる知る人ぞ知るスポットだ。

 なぜこんなに眺望がよいのかというと、明智光秀の攻撃を2度もしのいだという戦国時代の山城だからだ。まさに足元を見下ろすといった感じで、どちらから攻めて来ようと、360度まる見えなのである。

 では、同じ天空の城ながら、竹田城跡とは異なる黒井城跡のおすすめポイントを、3つ挙げてみよう。

 まず1つ目に黒井城跡は、観光地化されていないということ。近年、竹田城跡は観光地化され、多くの人が訪れるようになった。一方、黒井城跡は国史跡だけあって登山道はしっかり整備されているが、観光地化はされていない。そのため、城跡で絶景を見ながら、静かにゆっくり過ごせるのが魅力だ。

 2つ目に黒井城跡は、空に浮かんでいるような錯覚を強く感じること。筆者の目測ではあるが、城跡の面積は竹田城の1/3~1/4程度と、コンパクトな印象だ。そのため本丸から二の丸、三の丸方面を見下ろせば、城跡ごと空に浮かんでいるような感覚に陥るのである。

 3つ目に黒井城跡は、初心者でも登山を楽しめる山であること。黒井城跡へは登山口から1時間前後かかる。そのため、竹田城跡のような気軽さはないが、整備された登山道なので難易度は低い。道がはっきりしているうえに道標もあり、加えて登山道全体を通して携帯電話の電波状況は良好なので安心だ。

■国史跡「黒井城跡」登山で気をつけたいこと

黒井城跡なだらかコースに入ってすぐにある獣除けゲート(撮影:野口宣存)
黒井城跡登山道は滑りやすい場所もあるので注意(撮影:野口宣存)
黒井城跡入口にある獣除けゲート(撮影:野口宣存)
黒井城跡の獣除けゲートには注意事項が書き込まれている(撮影:野口宣存)
黒井城跡登山道では熊が出没する可能性があるので注意(撮影:野口宣存)
黒井城跡遺跡保護に関する注意書も獣除けゲートに掲載されている(撮影:野口宣存)

 黒井城跡への登山道は整備されており、道に迷うことは少ないだろう。しかし浮き砂のため、滑りやすい場所が多いので、登山靴は必須装備。

 また野生動物が多い山なので、獣除けのゲートが設置されている。このゲートは開けたら必ず閉めること。閉め忘れると野生動物が里に下りてきてしまうのだ。加えて登山道では、近年、ツキノワグマの目撃例もある。熊鈴やラジオの携帯をおすすめする。