■「けあらし」が現われる神秘の湖と黄金色の森を見下ろす空中散歩

●女神湖と秋色の森をめぐる贅沢な旅

 長野県と山梨県にまたがり、南北にいくつもの峰を連ねる八ヶ岳連峰。その北端部に位置する標高2,531mの蓼科山は、山麓にいくつもの高原リゾートが開かれた人気観光エリア。そのひとつが、白樺高原エリアにある女神湖や蓼科牧場だ。女神湖は農業用水のために整備された人工湖ながら、森が取り巻く自然風景にとけこむような景観美がある。秋はカエデや白樺などの広葉樹が赤や黄色に染まり、湖畔沿いを華やかに彩ってくれる。

 また、冷え込みが増すと湖面に「けあらし」という蒸気雲が発生することがあり、龍のようにモヤモヤとうねる蒸気が日の光に照らされる様子が幻想的だ。日の出直後のわずかな時間のみ現われる現象なので、周辺の宿に泊まってフォトチャンスを狙いたい。

 湖の近くにある蓼科牧場には、ゴンドラリフトで上がった場所に森をめぐれる「御泉水自然園」がある。標高1,830mに位置する自然園には遊歩道が整備され、御泉水池や湿原、色づく木々を写真に収めながら40分ほどかけて周遊できる。また、ゴンドラの空中散歩で黄金色に染まったカラマツの森も秋を感じる被写体だ。

●SPOT.1 自然の神秘「けあらし」

寒暖差の影響で蒸気雲が発生する「けあらし」

 湖に朝日があたった寒暖差の影響で蒸気雲が発生する「けあらし」は、秋が深まり冷え込みが増してきたころに見られる現象。条件が合ったときしか発生せず、見られる時間も短いが、ゆらゆらとうごめく蒸気と紅葉の共演は自然の神秘を感じる美しさだ。

 

●SPOT.2 御泉水自然園と絶景テラスの眺め

蓼科牧場ゴンドラリフト山頂に広がる御泉水自然園

 蓼科牧場ゴンドラリフト山頂に広がる御泉水自然園は、秋になるとカエデやカラマツが色づき、池と湿原と合わせたベストショットを狙える。また、山頂駅の横に設置された「女神のテラス1830」も、女神湖や北アルプスが一望できる絶好のフォトスポットだ。

●SPOT.3 天地が対になる水鏡のような女神湖

湖全体が水鏡のようになる女神湖

 風のない日は水面に波風が立たないので、湖全体が水鏡のようになる。条件が合えば「けあらし」の蒸気を挟んで、山、空、雲がきれいに鏡写しになった幻想的な一枚が撮れる。息をのむような絶好の瞬間と出会える女神湖は、写真愛好家も訪れる隠れた名所だ。

条件次第だが、多くの写真家が狙う一枚「ミラーレイク」
ミラーレイクの写真を90度回転させるとワインボトルのように見える。写真の楽しみ方のひとつだ

●フォトスポットMAP