梅雨が明け、強い日差しが降り注ぎ、夏空が広がる7月、そんな季節に深い緑と清々しい清流など、夏の自然を満喫してみてはどうだろうか。

 山口県岩国市は広島県広島市から公共交通機関で約1時間と少し足を延ばせば着く観光地。清流錦川にかかる日本三名橋(※)のひとつといわれる「錦帯橋」が有名だ。6月から9月初旬まで名物の古式鮎漁(鵜匠による鵜飼)を鑑賞できる鵜飼遊覧船がスタートする。錦帯橋の近隣施設と併せて気分も晴れ渡る初夏を楽しむ見どころを紹介しよう。
(※諸説あり)

■匠の技術! 木造の5連橋 錦帯橋

木造の5連橋。中央の3連はアーチ橋となっている(撮影:大善亨)

 錦帯橋は1673年、3代岩国藩主・吉川広嘉(きっかわひろよし)の命により、錦川に隔てられた城下町の両岸をつなぐ橋として築かれた。創建翌年の洪水で流失したが、すぐに再建し、昭和25年のキジア台風で再度流失するまで276年間不落を誇った。岩国市のシンボルとして、愛されている橋なのだ。

 その特徴はなんといっても、木造の5連橋。橋が2度目に流失した当時、鉄筋コンクリートで再建という話もあったが、市民の強い希望により木造で再建され、創建時の美しい姿を今に残している。

人々が上下に行き交う姿は連続したアーチ橋ならではの景観(撮影:大善亨)
大工技術の結晶。桁・梁などが一定の規則性を保ちながら入り組む様はとても美しい(撮影:大善亨)

 木造の錦帯橋の維持には大工の技術が欠かせない。木のどの部分をどこに使うのかという「木を観る」技術は、なんと熟練した職人から次世代の職人へと口伝による技術継承なのだ。300年以上受け継がれる大工技術は橋の裏を見ると、その一端を感じることができるのでぜひ橋を下から見上げてみてほしい。