中断され幻となった道路開発計画、「大雪横断道路」。その恩恵で高所まで容易にたどり着け、登山を楽しめるのが赤岳だ。その道路はBCスキーヤーにとっても絶好のアプローチとなる。シーズン最後のBC(バックカントリー)エリア、大雪山赤岳雪渓を滑走してきた。

■赤岳観光道路と幻の大雪横断道路!

赤岳へ続く銀泉台線。舗装は最初だけですぐに砂利道となる

 大雪山に「赤岳観光道路」という、標高1,500mまで通行することができる道路がある。北海道内において、一般車両が上がれる中では最高所だ。終点は「銀泉台」と呼ばれ、赤岳から大雪山の山々へ登る登山道の起点となっている。

 昭和の時代、標高2,000mを越える赤岳山頂を経て旭岳までつなぐ大雪横断道路という計画さえ、この道路にはあった。その計画は早々に中止となり、今や幻の横断道路だが、銀泉台から赤岳山頂に向けて進められた工事の爪痕は今も残っている。

■通行可能期間は4ヶ月! 道路開放と共に始まる登山とバックカントリーのシーズン

駐車場のある銀泉台。第一雪渓がよく見えている

 赤岳観光道路は自然環境の厳しさ故に一年の大半は閉鎖されている。通行可能期間は6月下旬から10月上旬までの4ヶ月弱。閉鎖期間は深い雪に閉ざされている。それだけ多くの雪が降り積もる場所なので、6月下旬にゲートが開放されると、登山者だけでなく夏の雪渓を求めてBCスキーヤー、スノーボーダーも訪れる、シーズン最後のBCエリアだ。

 大雪山系には多くの雪渓が残るが、それらが登山道上にあるとは限らない。しかし赤岳の登山道には大きな雪渓が4つ残り、傾斜、長さ、幅、ともに申し分ない。これらの雪渓が消えるまで、登山道から外れることなく滑りを楽しめるという利点がある。