富士山北麓に広がる山梨県・青木ヶ原樹海の一角にある「西湖(さいこ)コウモリ穴」。溶岩がつくり出した洞穴内は年間を通じて気温が安定していることから、時季を選ばず楽しめる。筆者は「コウモリ穴」という名称から、身をかがめながら洞窟を進むインディージョーンズのような探検体験ができるのではないかと期待感を抱き、実際に足を運んでみることにした。
今回は現地レポとともに、その魅力と注意点を紹介する。
■西湖コウモリ穴はどんな場所か
西湖コウモリ穴は、国の天然記念物に指定された溶岩洞穴。総延長は約386mで富士山麓の溶岩洞穴の中でも最大級の規模とのこと。
西暦864年に発生したといわれる富士山噴火で流れ出た溶岩流によって形成された独特の溶岩地形が随所に見られる。
洞穴は年間を通じて気温が安定していて、富士山麓の厳しい冬の中でも比較的温暖であることから、かつては多くのコウモリが冬眠のために利用していたという。現在は生息数が減少しているものの、コウモリのねぐらとなる区域への立ち入りは禁止されているなど、保護が行き届いた状態で内部を散策することができる。
■いざ入場! 目の当たりにした自然の力強さ
東富士五湖道路・富士吉田ICから国道139号を経由して約40分ほど走行し、西湖コウモリ穴の入場受付をしている「西湖ネイチャーセンター」に到着した。バスを利用する場合は、河口湖駅から西湖周遊バスを利用して「西湖コウモリ穴」バス停で下車すればすぐだ。
西湖ネイチャーセンターにて受付を行い、洞窟の入口まで歩いていく。
訪問したのは8月の真夏日。服の中を汗で濡らしながら、受付で受け取ったヘルメットをかぶり、洞窟内に足を踏み入れた瞬間、体感温度がぐっと下がるのがわかる。猛暑日となった外の蒸し暑さとは対照的に、ひんやりとした空気が肌を包み込む。天井から滴る水の音が、壁に反射して鳴り響く様は幻想的だ。
足元は、洗濯板のように波打った地形が続いている。溶岩が流れた跡だろう。ほかにも、溶岩流によって湖水が沸騰・蒸発した際の当時の水位を示す「珪藻土線」や、溶岩が流出して沈下した痕跡である「溶岩棚」も確認できた。自然がつくり出した造形美に圧倒される。
順路通りにしばらく進むとルートが分岐する。一方は階段を下りて、大人でも立ったまま進めるが、もう一方は子どもでも身をかがめるほど、天井が低いルート。筆者は当然、後者を選択。床に手をつき、しゃがんだ姿勢のままで進む。水にぬれた足元も、左右の壁も岩でゴツゴツしており、まるで映画のような景色を身体全体を使って感じられた。非日常的な涼しさと静寂を全身で味わえる、貴重な体験だった。
薄暗い洞穴内を、かがんだ体勢のまま、四方を岩壁に囲まれる圧迫感と油断のできない気持ちで前進するというスリリングな体験となるため、ヘルメットは外さないようにしよう。
子ども連れの方は、天井の低い場所で子どもとはぐれてしまわないか心配もあるかもしれない。その場合はもう一方の歩きやすいルートを選ぶとよいだろう。また、ゴツゴツした道を無理な体勢で進む場合もあるため、サンダル等は避け必ず動きやすい靴を着用しよう。