■称名滝の自然と歴史的背景
落差350mは四段に分かれており、上から第一段70m、第二段58m、第三段96m、第四段126mで構成されている。雪解けの時期に水量が増し、滝全体が轟音を立てながら谷底に落下する光景は圧巻である。滝名の由来には諸説あり、滝の音が仏の名を称える「称名念仏(しょうみょうねんぶつ)」に似て聞こえたことからこの名が付いたとされる説が有力である。古くから立山信仰の参詣者や修験者の目印となり、その姿は絵図や紀行文にも記されてきた。
また、称名滝は豪雨や雪解けによる水量変化が顕著であり、時期によって滝筋が変化する。特に春先は融雪の影響で水量が急増し、通常は見られない支流の滝が姿を現す。その代表例が幻の滝ともいわれる「ハンノキ滝」であり、最大落差は称名滝を上回る約500mにも達する。
地質的には、滝周辺は火山活動と氷河作用によって形成された急峻な谷壁から成り、崩落や浸食が進むことで現在の姿が形作られた。岩肌に沿って滑り落ちる水流は、長年の風雨と雪氷が刻んだ自然の彫刻である。
■立山黒部アルペンルートや室堂平散策との組み合わせも
称名滝は立山黒部アルペンルートの「富山側」に位置するため、室堂平散策と組み合わせるプランがおすすめ。この場合は富山県側からのアクセスがスムーズだ。立山駅や美女平を起点にアルペンルートで室堂平を散策したのち、立山駅へ戻って車やバスで称名滝へ立ち寄ることが可能。午前中に室堂でみくりが池散策や立山連峰の眺望を楽しみ、午後に称名滝を巡る充実の日帰りプランとなる。
長野側(扇沢)からのアクセスは、扇沢から電気バスやケーブルカー、ロープウェイを乗り継ぎ室堂平へ。さらに富山側に抜けて称名滝へ行くことも可能。しかし、このルートは移動時間が長く、アルペンルートの運行時間制限もあるため、室堂平や立山駅周辺での宿泊を前提とした1泊2日のプランとなる。
称名滝駐車場から称名滝までは片道約1.3km、緩やかな上り坂で徒歩30分ほどかかるが、整備された遊歩道で小さな子どもや高齢者でも歩きやすい。
所在地:富山県中新川郡立山町
アクセス:称名滝駐車場まで北陸自動車道・立山ICから車で約50分、または富山地方鉄道・立山駅からバスで約20分
所要時間:駐車場から滝まで徒歩片道約30分
開通期間:例年5月〜11月(冬季は道路閉鎖)